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テレビ公開討論始まる=大統領候補らが舌戦=ルーラ候補は敵前逃亡

ニッケイ新聞 2006年8月16日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】十月の選挙に向けてテレビやラジオによる選挙宣伝や政見発表が解禁となったのを受けて、テレビ局バンデイランテスは口火を切って十四日夜、大統領候補らのテレビ公開討論を行った。
 予期されたこととはいえ、ルーラ大統領が欠席したことに対し、各候補から一斉に非難が集中した。強力対抗馬のアウキミン候補は開口一番「ルーラは逃げた」として空席を指さした。他候補も口々に敵前逃亡だとして選挙民に対する甚だしい侮辱だと非難した。討論は主がいない労働者党(PT)政権への批判が集中する形で行われた。
 出席した候補者はアウキミン(ブラジル民主社会党=PSDB)、エレーナ(自由社会党=PSOL)、クリストヴァン(民主労働党=PDT)、ルシアーノ(自由社会党=PSL)、エイマエル(キリスト教民主社会党=PSDC)の各氏。
 アウキミン候補の発言に続き、エレーナ候補は「(欠席は)他人を見下すごう慢な態度の証し」だとして現政権の象徴だと決め付けた。エイマエル候補は、(汚職に対し)知らぬ存ぜぬと突っ張ってきたが、今回の討論も知らなかったとトボけるつもりだろうと批判した。
 所信表明でアウキミン候補は、サンパウロ州での州都第一コマンド(PCC)の暴挙を引き合いに出して、政府が国民の保安に対し何ら具体策を講じないと非難した。PCCの一連の襲撃事件が選挙への影響を狙っているのは明らかであり、サンパウロ州の問題だとして放置してきた政府の責任は重大だと指摘した。その上で、大統領に当選したら、来年一月一日から防犯に徹底するとの見解を示した。これに対しエレーナ候補は、PT政権はもとより、カルドーゾ前大統領のPSDB政権にも責任はあるとやり返す一幕も。
 サッカー問答も登場した。クリストヴァン候補がルシアーノ候補に、サッカーのワールドカップでブラジルが敗退したのと、ルーラ大統領の施政について、国民の失望はどちらが大きかったかとの問いに、ワールドカップは四年毎に行われ、またチャンスはあるが、施政の失態は挽回できないと答えた。
 医者としてのアウキミン候補が、看護婦の資格を有するエレーナ候補に保健対策を問うと、メンサロン(裏金)や救急車スキャンダルのような汚い金ではなく、きれいな金で本腰をいれるべきだと答えた。
 クリストヴァン候補はルーラ候補の最大の宣伝材料である貧困家族手当(ボルサ・ファミーリア)に触れ、労働意欲をかりたてるのが本筋で、貧乏だから当然の如く金がもらえるとして、仕事にありついたらその権利を失うと思っている人が多いと指摘、政策を変更すべきだと主張した。