ホーム | 日系社会ニュース | 伯から38人が入賞、入選=「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」=海外最多応募のブラジルから ブラジルは大豆大国種を蒔く(國兼立子) 雑煮食う家族も増えて赤道下(難波ふく江)

伯から38人が入賞、入選=「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」=海外最多応募のブラジルから ブラジルは大豆大国種を蒔く(國兼立子) 雑煮食う家族も増えて赤道下(難波ふく江)

ニッケイ新聞 2006年8月16日付け

 日本のお茶・飲料メーカーの伊藤園が毎年行っている「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」が今年も実施された。毎年多くの作品が投稿される同賞。十七回目となる今回は、ブラジルから百六十人が投稿し、その中から國兼立子さん、難波ふく江さんの作品が見事優秀賞に選ばれた。二人を含み、ブラジルからの応募者のうち三十八人の作品が各賞に入賞、入選した。同賞は今年、過去最高の百六十六万七千九百三句が応募された。海外からの投句はブラジルからが最多という。
 優秀賞に選ばれた句は、「ブラジルは大豆大国種を蒔く」(國兼立子)、「雑煮食う家族も増えて赤道下」(難波ふく江)の二句。このほかにも、都道府県賞、佳作特別賞、佳作など各部門でブラジルからの応募作品が入賞、入選した。
 俳誌「蜂鳥」の選者である池田童夢氏は、「日本への投句のため、ブラジルの自然などを題材にする『風土俳句』が多い」と総評、多くの入賞、入選を喜んだ。
 同じく蜂鳥選者の広田ユキさんは、「高齢者が多いため、入選を伝えようと連絡したらすでに亡くなられた人もいた」と声を落とす。
 窓口になっている文協の小川彰夫副会長は、「四年担当しているが、年々応募者が増えて嬉しい限り」と話し、今年十一月から募集が始まる次回応募を呼び掛けた。
 入賞作品三千句は、来年秋から冬までに順次生産される缶のお茶「お~いお茶」のパッケージに掲載され、日本全国で発売される。
 ブラジルからの入賞、入選作品は以下のとおり。
       (敬称略)
【優秀賞】
「ブラジルは大豆大国種を蒔く」(國兼立子)、「雑煮食う家族も増えて赤道下」(難波ふく江)
【都道府県賞】
「移民とは水草のごと紅茶飲む」(村松ゆかり)、「吸ひ切れぬ雨青芝の墓地広し」(長田美奈子)、「ブーゲンビリア撒き散らしてる坂の町」(遠藤勝久)
【佳作特別賞】
 「サンパウロでかい太陽青光る」(鈴木俊昭)、「老し母一枚一枚拝む年賀状」(山下重子)、「旅に出て気さくな気持ちサングラス」(宮本英雄)、「故郷を遠く離れて昼寝覚め」(西朋子)、「雨止まば啼かずば損と囀れる」(関山玲子)、「目に沁みる新幹線のお茶畑」(黒沢允晴)、「一日に四季ある国の衣替え」(脇山千寿子)、「飛び込んだ力で浮かぶ蛙かな」(坂本のぶゑ)、「足るを知る暮らししあはせ朝顔咲き」(山口ふみ)、「土の香の染みて農婦の手の踊り」(児玉和代)
【佳作】
「やわらかく帰路を照らして良夜なり」(鎌田ローザ)、「遠々と蟻塚光る星月夜」(村岡まさ恵)、「灼熱の玉じゃり踏んで酒蔵へ」(原味佐夫)、「母の日や子に詫びること多かりし」(小斎棹子)、「鍬胼の移民の手より新茶受く」(織田真由美)、「来客の好きなオームの初笑」(山下差智子)、「汐の香の残る貝殻朝曇」(中川千江子)、「鯉池に開け日本間の春障子」(百合由美子)、「一刷けの濃淡の雲夏の山」(赤木まさ子)、「大夕焼先は祖国の大雪か」(若林敦子)、「ブラジルや胡座をかいて雷を聞く」(浜田すみえ)、「異國に住みて今年も寝正月」(原田清子)、「冬温し石蹴りで遊ぶ子供たち」(高橋澄子)、「餅つけば日本がそこに舞い降りる」(新井知里)、「九十歳を越せば天寿や天の川」(佐藤雅山)、「独り居のくしゃみで終る日課かな」(本多敦子)、「いつ見ても親しみ難き蛇の顔」(大楯エツヨ)、「天高しゴムの葉一つ落ちにけり」(武井誠)、「小農の気楽さ葉蔭げの大昼寝」(小川豊喜)、「肩並べおどりし日舞孫と婆」(相沢絹代)、「出稼ぎの夫より届く鏡餅」(鈴木文子)、「賎が家も新春めかし蘭飾る」(山口東風)、「なき母にしかられながらお正月」(谷口ひろこ)。