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市場金利引き下げに暫定令=スプレッド取引抑制へ=銀行間の競争促進狙う=送金など業務簡素化も

ニッケイ新聞 2006年8月18日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】基本金利(SELIC)の連続引き下げにもかかわらず、市場金利の引き下げに応じない都市銀行に対し、マンテガ財務相は十六日、スプレッド(銀行間の金利差)取引を抑制する暫定令発令の意向を明らかにした。同令は四項目からなる。要旨は銀行債務の分割決済を期日に励行する顧客の信用台帳を作成し、銀行間で競って金利低減を図る環境を整備する。銀行預金保障基金への積立金を減額し、資金コストの削減で銀行の手持ち資金に余裕を持たせる。さらに送金制度を立ち上げ、サラリーの銀行振込を企業指定銀行に知られずに他行へ振り込める。信用台帳の移動も自由に行えるなど。
 スプレッド取引に熱中する余り基本金利の引き下げを無視する都市銀行に対し、市場金利の引き下げを求める暫定令を二十九日までに発令する意向を財務相は明らかにした。暫定令により顧客の取引銀行移動を容易にし、横着な銀行サービスに灸を据える考えだ。中央銀行と財務省は、これが銀行の業務改善の刺激になるとみている。
 財務相と中銀総裁は、二十九日の通貨審議会(CMN)で暫定令の内容を最終検討する。中銀への強制預託金の減率変更は当分行わない意向である。強制預託金は銀行を御するCMNの手綱である。
 当分は都市銀行が徴収する現行利子の低減を要求するだけ。二〇〇五年十二月まで都市銀行は、基本金利の引き下げに準じて市場金利を引き下げなかった。そのため市中に債務不履行の山が積み上げられた。業界の不況を政府による高金利政策の責任だとする考え方は許せないと、財務相はいう。
 銀行経営者らは、金利引下げは政府の問題であって銀行の問題ではないという。それは銀行の自分勝手な言い分だと財務相は反論した。財務省は銀行がサービス競争に専念するよう仕向けていると同相はいう。具体的に何をしたのかは、説明しなかった。銀行の親方日の丸式応対は、十年一日の如く変わらない。
 暫定令は、銀行業務の簡素化を促す。顧客への応対が横柄で、サービスが最低の銀行を容赦なく取り替えるよう呼びかける。取引がスムースに行え、企業の営業に役立つ銀行になるよう政府は指導する。
 銀行の信用台帳は、模範顧客リストである。政府はかつて信用台帳法なるものを上程したが、議会で握り潰された。新しい暫定令は信用台帳法を盛り込み、優良顧客へ特別低利融資を提供する法案らしい。
 クレジット保障基金は現在、預金の〇・〇二五%を積立てている。預金をした銀行が倒産した場合、預金者は二万レアルを回収できる保障金である。この保障基金は現在、残高が九五億レアルある。残高として十分であるから、暫時積立て率を減率するようだ。
 送金制度(DOC)は、労働者がサラリーを企業指定の銀行へ振り込まれるので懇意の銀行へ振替えるのに金融税(CPMF)を徴収される。これを自動振替制度とする。
 これまで惰眠を貪っていた公立銀行は、スプレッド取引抑制に協力する。特に零細企業向けのクレジット委託に率先協力をして、スプレッド取引の縮小に励むことを旨とする。