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連警、不正輸入組織を摘発=8州で95人の大量検挙=米国防省との合同捜査奏功

ニッケイ新聞 2006年8月18日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】連邦警察と国税庁は十六日、全国八州にまたがり不正輸入を繰り返してきた組織を摘発し、九十五人を大量検挙した。逮捕令状は一一八人に及んでいることから、残りの容疑者の行方を追っている。家宅捜査令状は二二〇カ所に及び、この種の犯罪では史上最大規模に上る。
 連警と国税庁は組織が十年前から不正を行っているとみて二年前から内偵を進め、立件を固めて大量一斉検挙に踏み切った。検挙は八州にわたり捜査員一二〇〇人が動員された。容疑者は為替法違反と脱税のほか、七つの罪状に問われ起訴される見込み。
 この中には通関の便宜を図った税関吏や不正輸入を承知の上で品物を購入して故買の罪に問われる数十社の経営者も含まれている。連警は、過去四年間で一一億レアル相当の不正輸入総額、脱税のみで五億ドルに上るとみており、今後の取り調べでさらに増えるとの見方をしている。
 また今回の捜査は過去に例がないアメリカ国防省の協力を得て、マイアミ市で合同捜査が行われたことが功を奏した。マイアミ市に拠点を置き、アメリカ製品をブラジルにアンダーインボイス(価格を実際より安く申告して関税を少なく納入する)で輸出していた組織の二社に、国防省が逮捕令状と捜査令状を入手して手入れを行った。二社の倉庫には家電やオーディオ、通信機器のブランド品が山と積まれ、すべてが押収された。責任者二人は十六日、ブラジルに強制送還され連警の取調べを受ける。
 一味はマルコ・マンスル容疑者を主謀者とするMAMグループで、同グループ傘下のマイアミの二会社から品物を受けて国内で販売していた。関税などの税金が安いため低コストで売れ、グループはブランド品の灰色市場を築いていた。少なくとも二十四社は不正を承知で製品を仕入れていた。このほか大手スーパーのカレフールやソニーの名も挙がっているが、両社は事実関係を早急に調査するとの声明を出した。
 マンスル容疑者はサンパウロ市の高級ブランド販売店DASLUの不正輸入に関与しており、中国人の密輸王と言われるロウ被告(逮捕済)ともつながっているとされるイワク付きの人物。共謀者でマンスル容疑者の実子が連警に自ら出頭、刑量軽減を見返りに捜査に協力するという司法取引に応じたことで、当局では事件の早期解明につながるとみている。