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3人の子と無理心中図る=高級住宅街で父親も自殺=事業に失敗、人生に絶望

2006年8月22日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日、二十一日】サンパウロ州アルファビレ市の高級住宅街で十八日深夜、父親が三人の実子をピストルで撃ち殺して自身も自殺する無理心中事件が発生し、住民をショックに陥れた。
 父親(66)は今年一月に妻(41)と別居しており、父子四人で生活していた。警察は父親の遺書を発見、それによると事業に失敗したことで人生を悲観し、子どもを道連れに無理心中を図ったものと断定した。
 事件が起きたマンションは外部から遮断され、警備員が常駐するサンパウロ市大都市圏内でも高級で、裕福層の住宅地といわれるだけに、稀にみる無理心中事件は世間を驚かせている。
 事件が発覚したのは十九日で、別れた妻が子供たちと連絡が一向に取れないことを不審に思い、警察に通報、警官を同行してマンション内に入り、四人の遺体を発見した。
 警察の現場検証と近所の証言によると、父親は十八日午前三時ごろ、五歳の次男を自分の寝室に連れて行き、ピストルで頭部を撃ち殺害。居間で寝ていた長女(16)と長男(15)は銃声で目を覚まし逃げるところを背後から撃たれた後、頭部にとどめを刺された。
 父親は寝室に戻り頭部を撃って自殺した。寝室に大量の精神安定剤が散乱していたことから、父親は薬剤を飲んで精神が高ぶっていた状態だったとみられている。三人の母親は半狂乱となり病院に担ぎ込まれた。
 寝室で父親自筆の遺書が発見された。遺書は「人生に絶望した」との題で妻との別居を後悔するとともに、関係者に欺されて事業(不動産)が破産したとして関係者の氏名が列記されていた。これにより長男のカートレースの資金援助が不可能となり、長男の夢を打ち砕いたと、無理心中の動機を書き記した。最後に墓の地図が描かれていた。
 子供ら三人の葬儀は二十日に住居近くの墓地で行われ、級友など多数が参列した。同時埋葬を親族から拒まれた父親は、サンパウロ市内の墓地に埋葬された。父親は前妻との間に四人の子供がおり、その関係者十人が列席、淋しい葬式だった。

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