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VWがリストラ最後通告=工場閉鎖も示唆=08年までに3600人解雇=国産化の象徴も今は昔

2006年8月23日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】ブラジルフォルクスワーゲン(VW)は二十一日、同社のリストラ計画に従業員が応じなければ、サンベルナルド工場を閉鎖すると最後通告を出した。計画では、十一月二十一日の工場操業協定の期限切れと同時に一八〇〇人を解雇する。その他数々の特別手当を廃止、二〇〇八年までにサンベルナルド工場の従業員三六〇〇人を解雇する予定。同計画に従業員の合意が得られない場合、解雇数は倍増し、一切の退職奨励金も中止する。金属労組ABC支部は、最終回答を協議するため二十五日までの猶予を請うた。
 世界的な自動車業界再編の波は、ブラジルにも波及したようだ。自動車業界は、生き残りを賭けた試練の時代に入ったらしい。同社のリストラ計画は、従業員が合意しなければ、モデル・チェンジも新規投資もないという。さらに生産台数は、これまでの日産九〇〇台を三〇〇台に減らす厳しい内容となっている。
 同社には現在、二万四〇〇〇人の従業員が就労している。VWドイツ本社において九月に新事業計画が協議される。ブラジルVWは四十七年前の一九五九年、時のクビチェック元大統領臨席のもとにサンベルナルド工場の落成式を華やかに行った。同工場は、自動車国産化の幕を切って落とした時代の象徴であった。VW本社にとっても、海外進出の第一号であった。
 しかし、現在はリストラ計画が実現不可能ならば、サンベルナルド工場四十七年の歴史に幕を閉じ、ドイツ本社の事業計画から外される予定となった。
 金属労組ABC支部の幹部は二十二日、組合員を召集し総会を開く。労組は、選択肢を狭める周到なVWの最後通告について説明をする。労組は自分らの存在意義にも関わるVWとの対決に煩悶している。
 自動車産業は、労組の揺りかごであった。自動車産業に寄生することで、労組とルーラ大統領は育てられた。樹液を吸い取られた親樹は、瀕死の状態にある。時代の要求と労組の役目が今、問われている。
 VWドイツ本社は、ブラジルにある三工場の一つを閉鎖するよう命じた。それでいけにえとして挙がったのが、サンベルナルド工場。理由は為替差損による輸出の減少。〇五年の輸出実績は二五万六〇〇〇台。〇六年は一七万八〇〇〇台。〇七年の注文は一五万六〇〇〇台とつるべ落としだ。
 サンベルナルド工場の敷地内は、全てのインフラが揃い一都市となっている。全盛時代は四万人の従業員が就労した。同工場で現在生産している車種は時代遅れのものばかり。設備も老朽化し、同工場の存続が時代の岐路にある。サンベルナルド工場は、自動車の博物館的存在だ。
 同市のウイリアム・ジブ市長はVW工場閉鎖の報に驚いた。VW亡き後のサンベルナルド市は、花のない花園。問題は税収や雇用だけではない。市は数々の税制恩典やインフラ整備を行ったが、自動車産業は斜陽産業となったらしい。超低燃費のハイテク自動車だけが生き残るといわれ、自動車の受難時代のようだ。