【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】大統領再選に賭けるルーラ大統領は二十四日、経済開発審議会で次期政権が減税と低率基本金利、社会保障院の累積赤字削減を実現し、インフラ・ストラクチャーと教育への投資拡大を行うと公約した。大統領の減税公約は、国税庁の二〇〇五年度税収が七二四一億レアルに達したとする記録更新の発表と皮肉にも同日になった。税収は国内総生産(GDP)の三七・三七%で過去最高である。過去二年間の税収率は、カルドーゾ前政権の〇二年よりも過酷な重税となっている。
国民の理解を求めるとしてルーラ大統領は、次期大統領に再選された場合の施政方針を財界や銀行、労組関係者に発表した。大統領が経済発展の協力を呼びかけたのは、放漫歳出と低率経済成長で財政的行き詰まりを暗示するものだと野党はみている。
〇六年度上半期は、歳入の一一・一%増に対し歳出が一四・八%増と、財政収支が悪化した。これは次期政権が財政難で苦労することを意味している。経済成長が停滞している折、数字など景気回復の具体的方法については、大統領は触れなかった。
〇二年の一〇〇万人雇用創出の公約が反故にされ、大統領は国民に借りがある。しかし、減税は必ず行うという。その反面、国税庁は皮肉にも記録的増収を発表した。減税は雇用創出のようなできない公約ではないと大統領が強調。減税しても、生産増強で税収は減らないことを確信すると述べた。
インフレは、恐竜伝説になると宣言。これまでの説で恐竜は想像を絶する大きな動物であったが、実際はトカゲ位の動物であったらしい。次期政権の財政政策は、萎縮指向から拡大指向に転換するという。
増税は公約違反だという苦情がある。前政権から引き継いだ〇二年の税収は、GDPの三五・六一%であった。〇四年は三五・八八%。〇五年は三七・三七%。国税庁は増税ではなく、徴収率の上昇だと弁解した。
国税庁は直接投資への資本税を免除し、セスタ・バジカ(生活必需品バスケット)品目への税制恩典を与えたと増税を否定した。所得税も従来通りで、一切税率も源泉控除の変更も行っていないと主張した。国税庁は増税をしないで、財政黒字を遂行する義務が課されている。
選挙に向けた特別出費の他に、公務員の定期昇給や最低賃金の調整、公社の赤字償却など政府財政には、構造的な悪弊がある。構造改革が行なわれないかぎり、慢性出血は続く。国税庁は油絞りのように、どこから税金を取り立て歳出の穴埋めをするか遊泳術を心得ているらしい。
ルーラ第一期政権における負の遺産を引き継ぐ次期政権は〇七年に財政危機に見舞われるという噂がある。ルーラ政権は、非生産的な資金投下が多すぎたという見方だ。次期大統領は財政危機を避けるため、財政改革は免れないようだ。改革は政権就任の当初に早く行うこと。それには公務員の昇給システムや最低賃金の自動調整に大なたが振られるらしい。
次期政権の減税を公約=再選見据えた大統領=税収のGDP比過去最高に=財政難は改革で乗り切る
2006年8月26日付け