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麻薬取締新法を公布=司法界、近代的と評価=売り手に厳罰、買い手は更生へ

2006年8月26日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日、二十五日】ルーラ大統領は麻薬取締法違反に関する新法令を裁可した。新法令は上院で可決されたものを骨子とし、政府司法専門筋が修正したもので、二十四日付官報(ジアリオ・オフィシャル)で公布された。実効は四十五日後となる。
 新法令の特色は供給側つまり麻薬の売人に厳罰の枠を広げ、反面需要側つまり買い手の罪を軽減する代わりに麻薬を絶ち切って更生することを狙いとしている。世界的に叫ばれている悪の根をかい滅すると同時に、需要マーケットの撲減を図る近代的刑法だ。
 新法令では麻薬の製造あるいは密売専業(これが所得源)に対し、禁固五年から十五年および一日五〇〇レアルから一五〇〇レアルの罰金が適用される。これまでは最低が三年だった。さらにその裏で資金面を操作する者や組織には禁固八年から二十年となった。
 いっぽうで麻薬不法所持者や常習者には、これまでの六カ月から二年の量刑を廃止した。これらの罪は担当判事により審査され、単に吸引が目的だと判断されると起訴は免れる。判事による刑の選択となる。しかし、かといって犯罪から逃れられず、更生(麻薬を絶ち切ること)を誓約した上で、一定期間の社会福祉奉仕を義務づけられる。これに違反した場合は六カ月から二年の禁固刑となる。
 これにともない、連邦政府や州、市では麻薬依存症の治療の専門機関の設置を余儀なくされた。政府筋ではこれにより、治安問題はさることながら薬害による国民の健康改善につながるとしている。
 犯罪研究家や司法大学の関係者は、稀に見る近代的新法令だと賞賛している。これまでの差別ない刑務所送還は更生につながらず、逆に単に吸引しただけで凶悪犯と同じ房に入れられて、入所前よりもワルになって出所した例が数多くあると指摘している。

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