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国を挙げての交流年に=サンパウロ市=訪伯参議院議員団が会見=扇議長「ブラジルの発展見た」

2006年8月26日付け

 扇千景参議院議長を団長とする参議院議員団が二十四日までブラジルを訪れた。現職参議院議長としては初めての来伯となる扇議長。滞在中には南伯、サンパウロ市、サントスなど国内各地を訪れたほか、エタノール工場、トヨタ工場などを視察、ブラジリアではルーラ大統領はじめ政府・連邦議会関係者を表敬、懇談した。一行は滞在最終日にサンパウロ市で会見。扇議長は訪伯を振り返り、ブラジル経済の発展に感銘を表わした。二〇〇八年の日伯交流年についても触れ、「両国の国民同士、国を挙げて感謝する交流年にしたい」と述べた。
 このほど訪れた参議院議員は、扇議長のほか、清水嘉与子(自民、元環境庁長官)、輿石東(民主)、風間昶(公明)の四名。扇議長の夫で人間国宝の歌舞伎役者、坂田藤十郎さんも同行した。議長は二十六年前にもブラジルを訪問しており、今回が二度目の来伯となる。
 一行は十九日に着伯。二十日にポルト・アレグレ市で開かれた南伯日本人移住五十周年記念祭に出席、二十一日にはサンパウロでクラウジオ・レンボ州知事、州議会議長などを表敬したほか開拓先没者慰霊碑、日本館などを訪れた。
 ブラジリアではルーラ大統領をはじめ連邦上下院議長など政府・議会関係者を表敬。セルソ・アモリン外相主催の昼食会などに出席した。
 大統領との懇談では、ブラジルの日本移民受け入れへの謝意とともに、三十万人にのぼるブラジル人が日本社会に溶け込んでいる現状を紹介。九月の自民党総裁選にも触れ、「次(の総裁)に誰がなっても、日伯の外交関係は変わらない」と伝えたという。
 議長によれば、ルーラ大統領は「今(両国が)一番いい状態で二〇〇八年を迎えられるのはうれしいこと」と言葉を返した。日本企業のブラジル進出への謝意とともに、さらなる対伯投資へ期待を表わした。
 この日は、先月東京で開催された日伯二十一世紀協議会の最終提言書がブラジル側委員から大統領に提出された。大統領は〇八年の皇室招聘に向けて準備をすすめる意向を示したという。

08年に歌舞伎が来る?

 議長はまた、同じくブラジリアでカリェイロス上院議長、外交委員長らと懇談した際に、二〇〇八年の日伯交流年にブラジルで歌舞伎公演を実現できるよう要望があったことを明らかにした。議長は、距離的な問題や莫大な予算が必要になるとしながらも、日伯両国、ブラジル進出日系企業や日本の本社に働きかけることで実現をはかりたいと前向きな姿勢を見せた。
 他の交流事業全般に関しても、議長は、進出企業と日本本社の協力が必要との考えを示した。

エタノール

 二十三日のエタノール工場視察について、議長は、「(家内企業的だった)二十六年前と比べ、すばらしく近代的な工場になっていた」と驚きを表わし、「ブラジルの発展を見た」とコメント。対日輸出に関しては、安定した供給能力と価格の安定が必要との認識を示した。これについて工場担当者からは、長期の契約をすれば可能という返答があったという。
 このほかにトヨタの工場も訪れ、エタノール車の試乗などを行った。

在日ブラジル人問題

 在日ブラジル人社会の現状について、議長は、いまはまだブラジル人同士が固まって住んでいる状態、との認識を示す。さらに、家庭問題解決の重要性を強調するとともに、「ブラジル人が日本社会にどう溶け込んでいくか、都道府県、市町村で考えていく必要がある」と語った。現在の日本に外国人労働者受け入れに関する法律がないことも挙げ、早急な法整備の必要性にも言及した。