【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】ブラジルの中流家庭以上の大学生の間で今、アメリカへの学生交流の名目のもとに出稼ぎアルバイトが急増している。これまでの学生交流あるいは交換留学は語学研修とその国を知ることに重点が置かれていたが、ここにきてアルバイトが加わり、名目もワーク・アンド・トラベルへと変わっている。
関係者の話では、アメリカに向かう学生は年間三〇%の割合で急増しており、今やブームとなっている。今年の年末(夏休み)休暇を利用して十八歳から二十八歳までの大学生ら約八〇〇〇人が渡米するとみられている。
ブームの原因となったのは、近年アメリカ政府が大学生への入国ビザを緩和したのに加え、短期間の就労を許可したことにある。在ブラジル米国領事館によると、大学生の証明と無犯罪証明証があれば、四カ月間の就労ビザをスムースに発給し、さらに女子学生が研修のかたわら子守のアルバイトをする場合には一年のビザを発給するとしている。
ビザの緩和で学生アルバイト希望者が急増したことで、あっ旋会社が次々と名乗りを上げて営利産業となってきた。これらあっ旋会社はこれまで、英語の講習会を開いて授業料徴収を収入源としてきた。それが最近は米国の企業と提携してブラジルでの人材あっ旋会社となった。
米国企業に向けてセミナーや語学研修を行い、最終的に採用試験をして学生らを米国に送り込む。この費用は二〇〇〇ドルから二五〇〇ドルになるが、一カ月のアルバイトで元が取れるという。
米国の企業はホテルチェーン、カジノ、ディズニーランド、ユニバーサルスタジオ、マクドナルドなどの一流企業で、八月から九月にかけて担当者が来伯して大規模な説明会が行われる。他国にあやふやな契約で人材を送り込むあっ旋業者とは趣きを異にしている。
アルバイト料は週四十時間で時給一二ドル、これにオーバータイムやチップが加算される。スキー場で働いて一万ドルを蓄えて帰国したつわものの二十二歳の学生もいる。ブラジルの夏休みはアメリカで冬となり学生の休暇がないことから、ブラジルの学生アルバイトが貴重な労働力になるという背景も後押ししている。
米国でブラジル人学生アルバイト=短期就労許可でブームに
2006年9月1日付け