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サンパウロ州保安局長官の去就は…=十月の選挙後に辞職か=知事は年末まで留任説得へ

2006年9月1日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】サンパウロ州保安局のサウロ・アブレウ長官の去就が改めて取り沙汰されている。犯罪組織州都第一コマンド(PCC)の襲撃事件に断固として立ち向かい、強硬な手段や軍隊の介入を拒否するなどで物議をかもし、これまでに幾度も辞任や更迭がうわさされてきた渦中の人物だ。
 保安当局は三十一日、公式見解として長官は辞任する可能性はあるものの、最終決定は本人の胸三寸にあるとの声明を発表した。この背景には、次期サンパウロ州知事選で当選確実といわれているセーラ候補(ブラジル民主社会党=PSDB,前サンパウロ市長)が、当選の暁にはすべての長官を入れ替えるとの態度を表明したことにある。このため、同長官は選挙後の十月には辞職するとの見方が強まっている。
 しかしいっぽうで、レンボサンパウロ州知事は十二月末までの任期までは同長官を留任させると明言、バンデイランチス宮(州知事官邸)を共に手を取り合って後にすると言い切っている。
 同長官はこれまでPCC襲撃事件で軍隊を投入するという連邦政府の決定を拒否した上で、公然とルーラ大統領とバストス法相に対し、治安対策予算の給付の遅れを指摘して非難を浴びた。さらに軍警と摩擦を起こし、最近ではPCCと労働者党(PT)との癒着を暴露する発言をして、レンボ知事に差し止められた経緯がある。
 しかし、爆弾男と呼ばれた同長官だが、レンボ知事の信頼は厚く二人三脚で歩んできた。一説には同長官を起用したアウキミン元知事との間で、任期満了まで同長官を更迭しないとの取り決めがあったとされている。
 セーラ候補も同長官の実績を評価、とくにサンパウロ州内の殺人が半減したことを賞賛している。このことから年末までの留任を説得するものとみられている。年末までの暫定長官に好き好んで留年する人物がいないのも事実だ。
 同長官は二〇〇二年に就任(二年の少年更生施設所長を経て)、その二カ月後に通称カステリーニョ道でPCCグループのバスを急襲し、十二人を殺害して名をはせた。その後、保安局の王様あるいは独裁者と言われながら、複数の要人と摩擦を引き起こすも権力の座にとどまっている。フルカワ刑務所管理局長官も同長官とのあつれきが原因で辞任した経緯がある。