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トンネル強盗を現行犯逮捕=PCCメンバーら関与=銀行の30m手前まで掘り進む=科学捜査と機動力の勝利

2006年9月5日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】柳の下に二匹目のドジョウはいなかった―。昨年八月にフォルタレーザ市で発生した国内史上最大の銀行盗難事件と全く同様の手口のトンネル強盗をもくろんだ犯罪組織州都第一コマンド(PCC)のメンバー二十六人が、連邦警察に裏をかかれて一網打尽となった。この中にはフォルタレーザ市での事件の首謀者の一人とみられる男と、先頃テレビ局グローボのレポーターを誘拐した男(いずれもPCC幹部)が含まれている。連警は映画を地でいくような捜査を続けて盗難を未然に防いだ。これに関連し、芋づる式にほかのPCCメンバー十六人も逮捕した。バストス法相はこの快挙を「警察の機動力の勝利」と絶賛している。
 連警はリオ・グランデ・ド・スル州の州都ポルト・アレグレ市で一日、銀行強盗を企てていたPCCメンバー二十六人を現行犯で逮捕した。一味は同市都心部の金融街の一画にトンネルを掘り、バンリスル銀行と連邦貯蓄銀行の二行の金庫室に抜け出て現金を奪う作業をしていた。
 一味はターゲットの二銀行と通りを隔てた元INSSビルを買収して、三カ月前からトンネルを掘り始めていた。トンネルは八〇メートルの長さに及び、第一目標のバンリスル銀行の地下まであと三〇メートルの地点にまで迫っていた。
 連警は一日午前七時、INSSビルを急襲、まずトンネル入り口で掘られた土を処理していた十二人を逮捕した。トンネル内で作業していた十人の逮捕はいとも簡単だった。トンネル内に空気を送り込むモーターのスイッチを切るだけでよかった。トンネル人夫は酸欠状態になり、入り口に這い上がってきたところを、銃をつきつけられ手錠をはめられた。さながら戦場で隠れ穴から出た所を捕虜となる戦士の様相だった。
 連警は同時に市内でPCCメンバーらが借りた家を急襲、連絡を担当していた四人も検挙した。この銀行襲撃未遂事件は昨年八月五日に、フォルタレーザ市で発生した一億六〇〇〇万レアル余の国内史上最大盗難事件と全く同じ手口だった。それもそのはずで、今回逮捕された二十六人のうち首謀者の通称トルトラドは、フォルタレーザ事件の首謀者の一人と目されながら物証不足で逮捕に至っていなかった。
 今回の事件が発覚したのは、フォルタレーザ事件で一味が置き去りにした一枚の携帯電話カードによる。カードは釘状のもので表面が判読できぬように塗り潰されていたが、連警科研で再生に成功、通話記録から関係電話の盗聴が行われた。この電話のやり取りで今回の襲撃の内容が明らかになった。
 銀行への侵入は九月七日の祭日と設定されたことで、連警はすべての役者が一堂に会するのを待機していた。トルトラドが他の幹部らとサンパウロ市からPCCの費用で空路入りし現場に着いたのを見計らって、逮捕作戦が実行に移された。
 逮捕された幹部の中には先頃テレビ局のレポーターを誘拐し、同局にPCCのメッセージを放映させたとして指名手配されていた通称バレンゴも含まれている。
 連警では計画が高度な技術のもと綿密に練られていることと、高性能な外国製機器がふんだんに使用されていることから、PCC単独の犯行ではなく、南米国際犯罪組織が関与している疑いがあるとみて、追及していく意向を示している。