2006年9月5日付け
「百周年に協力したい、という雰囲気を作っていきたい」。ブラジル日本移民百周年記念協会執行委員会の松尾治・新委員長は四日午前、同協会事務所で所信表明を行った。今回の就任は二日の理事会で承認ずみ。松尾委員長は「協会内にある小委員会の見直しが最初の仕事」と話し、一世らの協力が不可欠として、六日午前に戦後移民を中心とした団体を対象に説明会を開くことを明らかにした。委員長は八日、アスンシオンで開催される「パラグアイ日本人移住七十周年式典」に参加、十一日に訪日する。「日本滞在中も(ブラジル側と)連絡を取りながら、できることは進めていきたい」と話し、百周年改革への理解をコロニアに呼び掛けている。
「自分だけの判断でこの仕事を受けてしまったことは、県人会、県連の皆様にお詫びしなければいけない」としながらも、六日午後に行われる県連代表者会議で、各都道府県と独自のパイプを持つ、各県人会に協力を呼び掛ける考えだ。 執行委員会を設立した渡部和夫・百周年記念協会顧問は松尾氏説得の際、「思ったとおりやってほしい。理事長に承認を受ける必要はない」と全権委譲ともいえる発言をしたとされるが、これに対し松尾氏は、「独裁的にやる考えは全くないし、即決することはできない。皆の意見を取り入れてやっていきたい」とあくまで調和型での改革を目指す。
現在、協会内にある小委員会は、広報、イベント、スポーツ、祭典、財務、青年、法務、対日本、対企業、日伯政府、警備、文化、記録の十三委員会。
「委員長が不在の状態の委員会もあり、見直しが必要」と話し、百周年事業を進めるうえで、これら小委員会を〃実動部隊〃にするため、一世らの参画を求める。今月六日午前には、一世団体を対象に説明会を開き、理解を求める考えだ。
十一日には訪日、帰国は来月四日となるが、「不在中は遠山氏を始め、みなさんに調整をお願いしたい。(日本とブラジルで)連絡を取り合い、物事を進めていきたい」と、厳しい日程はチームワークで乗り越える姿勢だ。
なお、理事会にも諮られず、四大プロジェクト棚上げを執行委員会が決定した経緯や、定款にない組織であることにも触れ、「(執行委員会の)位置付けをはっきりさせる必要がある」との考えも見せる。
四大プロジェクト関連団体の脱退を含めた執行委の再編や、これまでの動きのなかで辞意を固めたとされる吉岡黎明総務委員長の去就については、「そこまでの権限があるのか、今の時点では判断できない」として明言を避けた。
県連同様、多くの課題を抱えた組織の舵取りを引き受け、これからの辣腕ぶりが期待される松尾氏、そしてこの意気を感じる人々の動きがこれから注目されるところだ。