【エスタード・デ・サンパウロ紙八月二十八日】ブラジルサンタンデル銀行のハラミージョ頭取が、ブラジルは銀行顧客を買収できる世界でも稀な国という。そのため、銀行システムを魅力ある姿に改善する必要があると述べた。政府の考えは、銀行間競争により顧客の要望に応える銀行を育てようとしている。同頭取は、ブラジルの銀行改革について次のように述べた。
【当初の金利引き下げ公約が果せなかった理由】市場金利の引き下げのため、スプレッド(金利差)取引の抑制が急務である。進出当初、スプレッド取引は銀行取引の半分以上を占めた。今は減少傾向にあるが、スプレッド抑制が困難なのは、高率の強制預託金と債務不履行、重税が原因。それで優良顧客と不良顧客を区別し、優良顧客への低金利システムを立ち上げる。
【スプレッド抑制に必要な対策】顧客が自由に銀行を選択できるシステムが欠落。会社が社員名義で給料を会社の取引銀行に預金する。社員は、給料を預金する銀行を選べない。ここで会社の介在と顧客情報の漏洩が起こるので、社員は不承ながら会社の指定銀行と取引をする。
サービスの売り手と買い手は、取引条件が同じでなければならない。銀行間の振替費用は市場相場より高い。不利な条件下で社員は資金運用を強いられる。この不便がスプレッド抑制の妨げとなっている。
【強制預託金と税がスプレッド取引を増殖する】この二つが銀行経営を圧迫するから、銀行はスプレッドで稼がざるを得ない。政府は、二つは廃止の方向というが、代案の準備もなく廃止は信じ難い。取り立ての名称が変わるだけではないかと誰もが疑う。
【スプレッド取引禁止条例の制定】GDP(国内総生産)の二%に当たる不動産ローン、スーパー一〇と二〇を準備している。米国で不動産ローンは、GDP比八〇%の盛況振りである。これは低利と手続きが容易な銀行改革の画期的商品である。これから新金融商品として注目される。
【銀行はスプレッド本位から顧客本位に変わる】ブラジルで現在当たり前となっている顧客不在の銀行と顧客買収方式を辞めさせ、顧客勧誘方式に改めさせることが必要。ブラジルの銀行業務は、他人の銀行口座を本人の同意を得ずに勝手に売買するので奴隷制度の考え方と変わらない。
【基本金利並みに市場金利も下げさせる】クレジットカードの金利をサンタンデル銀行のように五〇%引き下げれば、市場金利に引き下げ競争が始まり、スプレッドも減少する。債務不履行が増えたのはローンが増え、クレジット市場が成長したからだ。そのため優良顧客システムを立ち上げ、ブラックリストも作り、良い麦と悪い麦を選別する必要がある。
銀行改革に必要な条件とは=スプレッド取引の抑制急務
2006年9月6日付け