【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】マンテガ財務相は五日、銀行融資に関連する銀行法の新措置を発令した。この措置は年内は暫定法で、実効は来年一月からとなる。骨子は銀行融資のスプレッド(貸付資金のコストと貸付金利の差つまり銀行の利益)を削減するのが目的。これにより銀行の顧客は他銀行への給与振込口座の変更、債務支払いの銀行変更、融資の信用調査の他行への持込などが自由となる。銀行間同士の競合により融資やクレジットの金利やサービスを顧客に有利にしようというもの。しかし金融界では、短期的に効果が表れるのは困難だとする声が多い。
新措置は銀行の決算が軒並み史上最高となったことを背景に、顧客のクレジットに対する負担を軽減するのが目的で、公営および民間銀行すべてが対象となる。
主な決定事項としては、給与が銀行振込みとなっているサラリーマンなどは、随時他の銀行口座に移し替えることができる。その際、手数料や税金の類は無料となる。これは銀行が顧客を失わないためにサービスや便宜の向上を計るのを狙いとしている。
次に銀行から融資やクレジットを受けている顧客は、返済残額を他行に持ち込むことができる。この際、通称小切手税(CPMF)や金融税(IOF)は免除となる。これは金利や手数料の安い銀行を選ぶのを狙いとしたもので、中銀はこれに関し、官僚主義の廃止と税金免除を主導する条例と、前倒し返済(プリペイド)に関する規制を通達することになっている。
さらに銀行は、手持ちの顧客の信用調査書を顧客の承認のもとで第三者の金融機関に提出することが義務づけられた。これでほかの銀行はスムーズにかつ低金利で再融資に応じることを狙いとしている。不払いのリスクも回避できることになる。
また、良好信用度調書もお目見得する。これまでは債務不払いなどのブラックリストしかなかったが、良好な顧客であることを証明する調書を作成することを法令化する。これにより顧客のランク付けが容易になる。
中銀ではリスク・センターと呼ばれる部署があり、五〇〇〇レアル以上の融資について監視業務を行っているが、これを来年から三〇〇〇レアル以上とし、将来的には一〇〇〇レアル以上として、不払いを回避したいとしている。
通貨審議会(CMN)はこの程、銀行のクレジット保証積立金の料率を従来の〇・〇二五%から半減の〇・〇一二五%に引き下げ、対象額も二万レアルから六万レアルへと引き上げた。これによりコストを引き下げることで、間接的に顧客にメリットが転換されるのを狙いとしている。
この措置に連邦貯蓄銀行が反応を示し、企業および個人融資の金利を引き下げることを表明した。しかし中産階級を対象とした措置、コンサイニ―融資、マイホームのローンなどの対応が未発表で、一般の対応はイマイチとなっている。いっぽうで銀行側は、これまでの課題となっている中銀への強制預託金や税金について何ら触れていないとして不満を表明している。
銀行融資の規制緩和へ=スプレッドを削減=顧客サービスの向上も図る=銀行側は不満たらたら
2006年9月7日付け