コラム
「子ども達の顔が写らないように写真をとって下さい」――。先日、サンパウロ日本人学校へ取材に訪れた際に、こう注意を受けた。誘拐などを防ぐためだという。
同校の約十二万平方メートルの敷地は日本人学校で世界一。三メートル近い白い壁で囲まれ、一見学校には見えない。内部は安全そのものだ。周りに広がるファベーラと奇妙に同居する。
児童は企業駐在員の子弟がほとんどで、多くが三年から五年程で帰国する。職業体験やホームステイなどで、外部の世界と接する機会も増えたと聞くが、地下鉄にも乗ったことがない児童もいるくらい、限られた世界だけに暮らす子は多い。
確かにこれらは安全面を考慮すれば致し方ない。ただせっかく幼少期に異国の地で暮らしているのだ。もう少し開かれて、日本では得られない体験を積む機会は増やせないものだろうか。(泰)
2006/09/07
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