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公約は空手形に過ぎない=ルーラ大統領=来年度予算案と矛盾

2006年9月9日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】ルーラ政権が議会に提出した来年度予算案が、再選を狙う大統領の選挙公約と矛盾すると、ドラ・クラメール氏がエスタード紙に寄稿したコラムで指摘した。
 ルーラ大統領は、再選を果たせば次期政権で減税、連邦政府の歳出削減、社会保障部門の赤字削減、社会政策とインフラ整備に向けた投資の増加を実行すると選挙運動先の各地で公約した。しかし、どの公約も来年度予算案には反映されておらず、予算がこれほど空虚なフィクションだったことは、かつて一度もなかった。
 減税の場合、大統領は国民や企業の税負担を減らしたい考えのようだが、予算案では負担増が見込まれている。今年度に税収の国内総生産(GDP)比は一七・二四%に達したが、来年度は一七・四一%へと〇・一七ポイント上昇する見通しとなっている。大統領が就任した二〇〇三年度には、GDP比は一六・三%、〇二年の大統領選での公約は一六%未満に抑えるというものだった。
 大統領は今後数年をかけて社会保障部門の赤字を削減すると約束したが、来年度予算案では、今年度の赤字、GDP比一・九五%が来年には二・〇二%に上昇する見通しで、公約実現がすでに困難であることを明示している。公約の一つである最低賃金の増額も年金受給額引き上げにつながり、赤字をさらに増やす圧力となる。
 一方、十月の選挙前に賃上げしたばかりの連邦政府職員の人件費は来年、さらに一一七億レアル増加の見通しで、この額は大統領の看板プログラムである貧困家族手当の予算八六億レアルを上回っている。
 政府支出の増加で、インフラ整備を始めとする公共投資の拡大は困難になるとみられる。来年度予算では一七六億レアルが見積もられているが、これは政府の経済成長目標四・七五%を達成した場合の話で、成長率が低下すれば税収減、ひいては公共投資の削減につながりかねない。

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