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初出席5人を記録=全伯短歌、題詠「夢」で=時代映し出す作品ずらり

2006年9月12日付け

 椰子樹社、ニッケイ新聞社共催の「第五十八回全伯短歌大会」が十日、文協ビル内のエスペランサ婦人会サロンで開催された。六十三人が参加。初出席者は五人。パラナ州マリンガ市やクリチーバ市からも駆けつけた。
 三回欠席しただけで第一回大会から参加している安良田済さん(91)が開会の言葉を述べた。続いてニッケイ新聞社常任顧問の中野光雄さんが挨拶して大会はスタートした。
 今年の題詠のテーマは「夢」。題が発表されると参加者からは、にわかにざわめき声が起こった。二十分の短い時間で歌をつくるため、参加者の目は真剣そのもの。「難しい」と唸る声もあれば、電子辞書片手に黙々とペンを走らせる人など、それぞれが思いおもいに歌を作っていた。
 コチア青年連絡協議会相談役の瀬尾正弘(72)さんは、老後の楽しみの一つとして短歌を始めたという。「今の時代を映し出す歌を今後もつくっていきたい」と笑顔で語っていた。
 同会の会員の多くが一世。高齢化も進んでいる。入会希望や問い合わせなどは上妻(こうずま)さん(電話11・6947・1781)まで。
 主な結果はつぎの通り。
 【代表選】(投稿歌数二百十六首)一位、酒井嗣朗。「そうかね」と万事を素直に受け入れる境地に在(おわ)しし晩年の父
 【互選】一位、岡本利一。カンテラのともしび暗き野の小屋に育てし吾娘に守られて老ゆ
 【題詠「夢」】一位、岡本利一。夢賭けて遠き大地に移り来ぬ逝かせてならぬ妻を失う
 【独楽吟】一位、寺尾芳子。老いぬれば床伏せの夫の難題も諾いやらんと思ほゆるかな
 【アベック歌合せ】一位、川上定子・内川愛李組。わが思いつげえず過ぎし若き日よ・君の優しさのぞく一瞬
 【総合得点】一位、岡本利一。