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恋人の女性を取り調べ=元軍警大佐殺害=動機は痴情のもつれ?=逆恨みPCCの関与はなし

2006年9月13日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】退役軍警で現サンパウロ州議員のウビラタン・ギマリャンエス(63)が自宅のマンションで遺体で発見されたことで、殺人事件として捜査を進めている殺人捜査課は、恋人の女性弁護士を重要参考人として取り調べることを明らかにした。
 被害者の通称ウビラタン大佐は、一九九二年十月二日にサンパウロ市カランジル刑務所で発生した暴動で鎮圧のために強行突入して囚人一一一人を大量殺害した軍警隊の当時の指揮官として知られた。検察は同大佐を起訴したが、サンパウロ市地裁は今年二月、無罪の判決を下した。検察側は控訴中だった。
 大量殺害の犠牲者には犯罪組織州都第一コマンド(PCC)のメンバーや肉親が多数含まれていたことから、同大佐は死の脅迫にさらされていた。PCCの間では同大佐の命は「トロフイ―授与に価する」とささやかれていた。
 このため同大佐の死が報じられると、PCCの関与を疑う声が挙がった。しかし捜査課はこれを否定。個人的な痴情のもつれが動機で犯行に及んだとの見方を強めている。レンボサンパウロ州知事も「(PCCの犯行の可能は)極めてゼロに近い」とコメントしている。
 同大佐はサンパウロ市内ジョゼ・マリア・リスボア街の自宅マンションで死亡しているのを秘書が十日に発見した。遺体は居間でタオルを腰に巻いた姿で、腹部を一発撃たれていた。弾丸は貫通してソファーに届いていたことから、至近弾とみられている。検視官によると、流血はほとんどないことからほぼ即死の状態で、死後二十時間を経過しているとのことで、犯行は九日夜に及んだと推察されている。
 同大佐は九日夕方、運転手付きの車で帰宅している。その後、午後七時から八時半まで恋人の女性が訪問している。大佐の生きた姿を見たのがこの女性のことから、当局では重要参考人として取り調べる。当局は女性に、事件当夜に使用していた衣服の提出を求めた。発砲による硝煙反応を調べるためだ、
 現場は争った跡もなく室内も荒らされた形跡がないことから、顔見知りの犯行と見られている。裏側の使用人入り口が開いており、大佐が招じ入れた可能性が強い。大佐は警備に神経をつかい、常に武器を携行していた。
 自宅に保有していた七丁のピストルのうち一丁が見つからないことから、これが犯行に使われ、犯人が持ち去ったとみられている。