種子島から情報収集衛星が打ち上げられた。もっと解り易くは「偵察衛星」である。云うまでもなく北朝鮮の核開発やミサイル発射を監視するためのものであり、これまではアメリカが得た情報に依存していたけれども、日本も独自の情報取得に乗り出したという点で画期的な取り組みと評価したい▼今回のH2Aロケット打ち上げで衛星は3基になったけれども、年明けに予定されている4基目が軌道に乗って初めて計画は完了する。こうなれば世界のあらゆる場所を観測することが可能になり、地上で1メートルの物をも詳細に分析できる。が、アメリカの衛星は10センチの物体まで捕えることができるし、これらの性能の向上も今後の課題となる。ただ―遅ればせながら日本も情報の大切さに気付き真剣さを見せ始めたのは結構なことだ▼北朝鮮が先に発射したテポドン2号でも日本は捕捉できなかった。海上自衛隊が誇るあのイージス艦でも失敗したという。発射の瞬間を掴んだのは米国の早期警戒衛星であったが、いかに同盟国とはいえ、これでは何とも寂しすぎる。やはり、ここは日本が独自に情報収集するための政策の確立を急ぐべきである。北朝鮮にはまたノドンなどのミサイル発射の動きもあるし、中国の軍事増強にも目を向けるべきは云うまでもない▼この偵察衛星については、反対論もあるだろうが、安全保障の観点からはどうしても必要なものの認識を高めたい。国の安全に拘ることは、すべて米国頼み―そんな時代はもう過ぎた。日本の防衛は、可能な限り、自前で守るの心決めを大切にしたい。 (遯)
2006/09/14