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有名無実の飲酒運転取締=強化に向け具体策検討へ=運転者の15%超が法律違反

2006年9月15日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】飲酒運転取締法の定める取締が実行に移されずおざなりとなっており、事実上有名無実の法令と化していることから、それを強化する動きが広がっている。取締強化の具体案を検討する特別委員会が一年前に設置され、作業を進めているが、年内には実行に移すとの意向を示している。
 サンパウロ連邦大学(Unifesp)が昨年二月から今年二月までの一年間にジアデマ(サンパウロ州)、ベロ・オリゾンテ(ミナス・ジェライス州)、サントス(サンパウロ州海岸)の三市で一八七四人の運転者を対象に調査した結果、アルコール検知器によるテストで一五%以上が法で決められた量をオーバーして運転していた。
 ジアデマ市では一〇〇〇人の一九・四%、サントス市は三一三人の十八・八%、ベロ・オリゾンテ市では五六一人の一五・九%だった。このほか、三七・四%が血液中にアルコールが検出されながらも自家用車、トラック、オートバイを運転していた。同大学ではこの結果に驚きを隠せず、アメリカの五倍の数字だとしている。
 今回の調査は三市のみだったが、この傾向は全国的だとして引き続きサンパウロ市を含む五〇〇〇人を対象に調査を広げる意向を示している。この報告を受けた交通事故医療協会では、別に驚く数字ではないとして、国内の交通事故死の五〇%から六〇%は酔っ払い運転で、世界的水準だとしている。ただ例外は日本で、取締と罰則が厳しいことで、マナーが浸透しているとコメントしている。
 取締を強化する特別委員会では、緊急な対応が必要だとしながらも、年内には補足令で具体策を実施したいとの意向を示している。
 同委員会ではブラジルには世界でも有数な立派な道交法があるが、取締には難点があると指摘している。道交法ではアルコール度を〇・一から〇・五までを許客範囲(缶ビール二本、ワイン二カップ、ウイスキーはシングル一杯相当)とし、〇.六%以上は罰金九五七・七〇レアル、免許取上げ、車の没収などの処罰となる。しかしこれはすべて事故を起こした後のことで、予防は実際に何も施されていない。
 事故防止のためにはアルコール検知器が最も効果があるが、ブラジルの法律ではこれを強制できない。民法には何人たりとも自分に不利になる行為や証言は強制されないという一文があるからだ。車内の空気を測定してアルコール度を検出する最新機器もあるが普及していない。このため警官には飲酒運転の取締方法がないのが実情だ。