【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】会社再建策を模索してきた自動車大手メーカーのフォルクスワーゲンは十四日、これまで懸念されてきた労使協定締結にようやくこぎつけた。ドイツ本社および政府筋からのテコ入れは、労使協定締結が絶対条件とされていただけに、愁眉を開き、工場閉鎖という最大の危機は乗り越えた。
再建の対象となったのはサンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポ市のアンシエッタ工場で、会社側は五月に、今年中に一八〇〇人をさらに二〇〇八年までに一八〇〇人の計三六〇〇人を合理化のためリストラすると発表。退職者には退職金の上積みを約束した。反面残留社員には手当てカットなどで経費削減を計った。
労使交渉は、リストラを対象とした。会社側は指名解雇としたのに対し、労組側は退職希望者を募ることを主張した。双方の主張が平行線をたどるまま、会社が頼みとしていた社会経済開発銀行(BNDES)のつなぎ融資四億九七〇〇万レアルが承認寸前で御破算となった。銀行側が労使交渉妥結を第一条件としたからだ。
このつなぎ融資をメドに、ドイツ本社も再投資に踏み切るとみられていたが、これで切れて先行きは不透明となった。会社側は同工場閉鎖もやむなしとの判断のもと、先月一八〇〇人に対し、解雇通知書を送付した。解雇に伴う一切の恩典を取り消していたため、この一方的措置に労組が反発、ストを決行した。
スト四日目で会社側が解雇を取り消したため、ストは解除され、労使交渉が再開されて今回の妥結に至った。これにより年内の退職者については希望退職者を募り、退職時期により上積金を支給する。これに達しない場合は会社が指名することになった。
同工場の従業員一万二四〇〇人のうち、これを決定する集会に一万人が出席したが、そのうち三〇%は会社案に反対した。労組幹部は会社存続のためやむなしとして多数決で採択した。関係筋では、この妥協によりドイツ本社は一〇億ドル規模の再投資を行うとみている。
VW、労使協定を妥結=希望退職募り人員削減=工場閉鎖の危機乗り越える
2006年9月16日付け