コロニアの邦字紙が日本から「記者」を呼ぶようになってからほぼ20数年になる。一世が少なくなり記事を書ける人材が不足しがちなので苦肉の策として生まれたものだが、予想に反して―若い女性が多いのに驚きびっくりもした。現在も3人活躍しており男は1、女2と女性優位なのである。どうやら日本も考え方が変ってしまい海外雄飛は女性ということらしい▼新聞界には「記事は足で書け」とされ、機敏に動く行動が求められる。若い「記者」も、この点に関しては合格であり、とりわけ「女性記者」はよく動く。ただし―である。日本の眼でコロニアを直視しがちなので記事の内容は、日系社会の常識とはちょっとズレがあり違和感が無くもない。まあ、これは日本の引き鉋と押す鉋のブラジルの違いと受け止めるべきか。文章も「ら抜き」や「鳥肌が立つ」の使い方も、遯生などの朗(老)年組の理解を越える▼尤も―大いに助かることもいっぱいある。最大なのは、近ごろ流行のカタカナ語にすこぶる強く専門の「辞典」にも掲載されていないような語彙でも立ち所に回答して呉れる。それにしても、日本の文章―特に雑誌には英語や仏語かと思われる横文字がやたらと多く、無知蒙昧派には文意の筋が辿れない。国語研究所の専門家らが、カタカナ語の日本語訳に乗り出し額に汗するのも―尤もな話である▼横文字が本格的に入ってきたのは明治からであり、当時の知識人や洋学者はこれら英仏語の「和訳」と「造語」に艱難辛苦したらしい。「哲学」や「銀行」もだし、今も、もっと日本語に直しての使い方はできないものか―である。 (遯)
2006/09/16