【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日、既報関連】野党候補の個人情報データの購入を図ったのは、やはり労働者党(PT)の指しがねだった。データ売買の現行犯で三人を逮捕した連警はその供述から、フレウデ・ゴドイ大統領特別補佐官を主犯と断定、逮捕状を申請した。しかし同補佐官は十八日、職を辞した後、連警サンパウロ州本部に出頭した。罪状は否認しているという。連警は同補佐官のみならず、ルーラ候補の選挙陣営の組織ぐるみの犯行とみて、本格的に追求する構えをみせている。選挙高裁長官は、ルーラ大統領が関与していることが実証されたら、たとえ当選した場合でも権利はく奪はあり得るとの見解を示した。バストス法相は大統領の関与を強く否定している。野党陣営は一斉に政府攻撃を開始した。
ゴドイ特別補佐官は十八日午前、辞表を提出した。これに先立ちルーラ大統領は連警の動きを知り、自ら同補佐官に電話を入れて真相を質している。大統領側近によると、その際に大統領は激しく怒り、行為を責めた上で解任を言い渡したという。
これに対し同補佐官は「安心して枕を高くして眠るよう」伝えたとのこと。この直後、ロウセフ官房長官にEメールで辞表を提出した。辞任は一身上の都合によるとして受理された。このやりとりでニューヨークに飛び立つ大統領専用機は一時間遅れで出発した。
同日午後、同補佐官は弁護士をともなって連警に出頭した。疑惑を晴らすための任意による出頭だとして罪状を否認している。しかし連警では前日、容疑が固まったとして逮捕状の申請をしていた。
連警の調べによると、救急車スキャンダルでセーラサンパウロ州知事候補が前政権の保健相時代に不正に関与していたデータを買い取るのが目的だった。スキャンダルの主犯のプラナン社から持ちかけられたもので、これに関連してネグリ元保健相およびアウキミン大統領候補も絡んでいるというのが、プラナン社の唄い文句だった。
サンパウロ州知事選で劣勢となっているPT陣営は、挽回の手段としてデータを入手しようとしたとみられている。いっぽうでイスト・エ誌に情報を流し、プラナン社のヴェドイン社長とのインタビュー記事でセーラ候補の不正に関する記事の掲載を図ったともみられている。押収された一四七万レアルには同誌への謝礼も含まれているとの見方もしている(結局同誌は不正に否定的だった)。連警ではこの資金の出所を重点的に追及する。
選挙高裁のメーロ長官は同日、ルーラ候補が事件に関与したことが実証された場合、候補資格ははく奪されるとの見解を示した。選挙後の捜査結果でクロになった場合は、当選無効もあり得るとの談話を発表した。
ブラジル民主社会党(PSDB)と自由前線党(PFL)の両党首は同長官に対し、選挙高裁としての独自の捜査を申し入れた。連警はバストス法相の命令下にあり、ルーラ大統領の弁護士だと公言してはばからない同法相のもとでの捜査では公正に欠けるというのが言い分。
バストス法相はこれに対し、公正かつ迅速な捜査を約束するとともに、本件にルーラ大統領が関与しているとは信じ難いとのコメントを発表した。
主犯は大統領特別補佐官=個人情報売買=辞任後に任意出頭=大統領関与なら当選無効も=サンパウロ州知事選挽回裏目に
2006年9月20日付け