【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】ボリビアが天然資源の国有化にともない、ブラジルのペトロブラス(石油公団)の原油および天然ガスの精製プラントの接収を発表したことで両国の緊張が高まり、未だに尾を引いている。
接収は十二日、ボリビアの時のソリス水力鉱山相の署名で発表された。寝耳に水の報でルーラ大統領は激怒し、リネラ大統領代行(副大統領)に急きょ抗議の電話を入れて撤回を要求した。ボリビア政府はこの要求を受けて接収を「一時凍結」とした。
同鉱山相はこれを不満として辞任するという騒ぎに発展した。同鉱山相はモラレス政権の中でも強硬派として知られ、とくにペトロブラスとの交渉やブラジルへの天然ガス供給問題で主張を曲げない頑固さを見せていた。同相の辞任はブラジル側関係者に喜びをもって迎えられ、今後の展開に明るさを取り戻した。
しかしその喜びもつかの間、後任のヴィレガス水力鉱山相が、就任式で前大臣のソリス路線を継承すると公表したことで、ブラジル側にまたもや暗雲がたちこめている。
新鉱山相は国有化による具体政策発表が十月二十七日で期限切れとなることから、それまでに交渉は全て終えるとのタイムリミットを強調した。国有化宣言が五月一日に行われ、一八〇日の期間までに具体策を明らかにするとしていた。その上で、ペトロブラスの接収は一時凍結であり、法令は生きているとして、近い将来復活するとの考えを強調した。ただし一方的ではなく、双方の交渉で解決するとの意向を示した。
ただし、ペトロブラスのボリビア側への経営譲渡は既成事実で、ペトロブラスが経営を維持しようとしても無駄な努力だと明言した。その上で、これは国有化の基本政策であり、買い取るものだとして、外国企業が契約に応じない場合は国外退去の道しか残されていないとの強硬態度を見せつけた。
いっぽうでモラレス大統領は訪問先のアメリカでCNNのインタビューに答え、ペトロブラスを没収する意図は全くなく、友好的な話し合いで解決するとの考えを強調した。その上でルーラ大統領を兄貴と呼び、ブラジルは友好の深い同盟国だと明言した。
尾を引くボリビア問題=鉱山相交代も方針変えず=ペトロブラスの経営譲渡は必至
2006年9月20日付け