コラム
長崎県人会館の塀の上に円形状の鉄網が設置された。「目の前に警察署があるのにね」―。同県人会のちゃんぽん祭りに来ていた客がつぶやく。やけに厳重にするものだ、と記者も思った。
「浮浪者が塀をよじ登ってきて勝手に水をつかうから」。中野会長が理由を説明する。県人会の目の前に長年住み着く浮浪者が、「ネズミ返し」付きの塀をよじ登るというのだ。
「いい体力している」とのんきなことは言えないが、いくら注意しても知らん顔。水を勝手に使ってはまた、何気ない様子で出て行くらしい。
鉄網が設置された今でも、いつもと変わらず県人会館前に寝泊りしているこのおじさん。慣れた住処は離れにくいに違いない。
きっと今ごろ「難壁」攻略の一手を模索中だろう。せっかく確保した、日常生活の一部。失ってなるものか、と。(泰)
2006/09/21
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