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大統領選挙参謀を解任=PT=党総裁の責任認める=サンパウロ州知事候補広報担当も=資金と出所が焦点に

2006年9月22日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】対立候補の個人情報データ、いわゆるヴェドイン資料スキャンダルにまみれている労働者党(PT)では二十日、事態収拾に向けて終日慌ただしい動きを見せた。政府内も重い空気に包まれた。こうした中でPT党執行部は二十日、事件に関与したとされるベルゾイーニ党総裁をはじめとする三人を、再選を目指すルーラ大統領の選挙参謀から外すことを決定し、関係者に通告した。これによりスキャンダルに関与した疑いで処罰されたPT党員は五人に上った。またサンパウロ州知事選のメルカダンテ候補(PT)も同じ疑いで、広報担当参謀を解任した。スキャンダルは外国でも話題を集め、CNNやエル・パリ・ラ・ナションなどが一斉に報じた。
 PTは二十日午後、ベルゾイーニ党総裁をスキャンダルの主謀者と断定し、ルーラ大統領の選挙対策本部の参謀総長を解任すると発表した。ルーラ大統領もこれに賛同した。
 後任はガルシア副総裁(大統領府国際担当特別補佐官兼任)が当たることになった。同総裁はこれに先立つ午前、大統領官邸に出向き釈明を行った。密室で行われたが、大統領側近筋によると、総裁は対立候補の情報収集は選挙の常とう手段だとして正当性を主張し、理解を求めたという。会談にはバストス法相をはじめとする主要閣僚も出席したが、誰一人として正当性は認めなかった。
 ルーラ大統領は怒りがおさまらず、エポカ誌やイスト・エー誌に記事掲載を工作したバルガス党員(総裁の右腕とされ、総裁が労働相の折には長官を務めた)に対し、常識破りの行為だと非難した。会談では処分は党に一任するとの結論に達したことで、党側は午後に入って解任を決めた。
 解任はロウセフ官房長官とジェンロ憲政相(前総裁で、現総裁とは意見の対立で確執がある)が強硬に主張したとされている。官房長官は記者団に対し、総裁の行為は党への裏切りだと決めつけた。
 連警ではデータ買収のための一四七万レアル相当の資金の流れが焦点だとして追及している。連警の捜査に加わっている検察庁は、単なるデータ売買だとプライバシーの侵害で軽度の犯罪で済むが、資金の出所や流れに政党が絡むと、重度の選挙法違反に価するとの見解を示し、さらにそれが不正資金だと金融法違反、脱税、資金洗浄、犯罪組織結成などの重罪が適用されると判断している。
 これまでの捜査で、押収された一一六万レアル紙幣はブラデスコ、サフラ、バンクボストン(現在イタウ―銀行と合弁)の各銀行から引き出されたことが判明している。とくにブラデスコ銀行のものは続き番号になっていることから、同一人物が一度に引き出したとみられている。残りの二四万八〇〇〇ドルはアメリカの両替店のもので、どのような経路で運び込まれたかを捜査中。
 スキャンダルに関与した人物によると、資金は連立政権に関連した企業グループが資金を工面したと供述しているが、連警では裏付捜査に全力をあげている。
 ルーラ大統領の対立候補陣営では攻撃ののろしを一斉に上げた。ブラジル民主社会党(PSDB)の重鎮のカルドーゾ前大統領は、重大問題だとした上で、ルーラ大統領は国民にきちんと説明すべきだとの考えを強調した。