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手付かず状態の治安対策=全国で11分に1人が殺される

2006年9月22日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】ブラジルでは現在、十一分毎にどこかで殺人が発生、一日が終わると被害者は百三十人を超える。一年間でその数は五万人以上となり、殺人王国の名を欲しいままにしている。
 一九八三年は一万七四〇八人、九三年は三万六一〇人、〇三年は五万一〇四三人、〇四年は四万八〇八四人を数えた。参考までに見ると、イラク戦争では〇三年三月以降の死者が四万六四二〇人で、大量破壊兵器を投入して公然(?)と殺りくを繰り返す戦争よりもブラジルが上回っている。
 八三年以来、ブラジル国民は四回の大統領、五回の州知事、六回の市長選挙に参加してきた。しかしすべての当選者が任期を終えた時に治安が一向に改善されず、犯罪者に敗北している。
 犯罪研究専門家によると、過去二十年間にわたり治安政策の改善が叫ばれているにもかかわらず、手がけた政治家は皆無だと指摘している。その上で政治家の間では治安対策についての発言はタブー視されているとし、公約しても実現できないのが現状だとしている。
 さらに治安対策は空気と同じで欠乏するとその重要性が認識されるとしている。現に今年は総選挙でありながら、度重なる州都第一コマンド(PCC)の襲撃事件が発生し、犯罪組織が我が物顔をしているのに対し、PCC対策を講じる候補者が一人もいないことが嘆かわしいと批判している。最近の世論調査では犯罪に対する不安がトップになっているにもかかわらずだ。
 大統領選のルーラ候補の治安についての公約は型通りのもので教科書を引用したしろもので、なおかつ四年前に掲げて実行されなかったものを、再度引き出しており、関係者は鼻白んでいる。他の候補も大同小異だ。
 専門家筋はPCC襲撃でサンパウロ州政府が連邦政府の介入を拒絶したように国全体の足並みが揃っていないのも問題だと指摘している。さらに、その前に汚職を追放することが犯罪組織撲滅につながるとしている。警官の質を向上し、警察学校で優秀な人材を育成して犯罪に立ち向わせるのが不可決だとしている。
 〇四年における殺人以外の発生件数は、窃盗二一二万五二九四件、強盗八五万六七七四件、資産犯罪八五万六二七二件、暴力六一万九〇八六件、交通犯罪二九万四八六六件、麻薬犯罪九万八五九件、殺人未遂三万五一〇三件、強姦一万四二九八件だった。