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強盗ら再び銀行に向かう=上半期に昨年比4割増=低リスク高収益で本業に=サンパウロ州

2006年9月23日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】サンパウロ州内で銀行強盗が犯罪組織の標的に戻ってきている。サンパウロ州保安局の統計によると、今年一月から六月までの上半期の被害は一〇九件に上り、昨年同期比三九・七%の増加となった。六月の過去三十日間では一五件となり、二日に一件という有様だった。昨年一年間の被害が一三三件だったことから今年第3四半期(七月から九月)では昨年総数を上回るとみられている。
 銀行強盗は近年減少の傾向にあった。例えば一九九七年には九七二件だったのが、四年後には一七八件となった。最近の増加傾向について当局では、それまでは銀行強盗は麻薬犯罪や誘拐事件の片手間、つまり〝副業〟だったのが、リスクも少なく金額も張ることから〝本業〟とする犯罪組織が増えたのが原因だと指摘している。なかでも州都第一コマンド(PCC)の暗躍が原因の一つだとしている。
 今月一日、連警はポルト・アレグル市で地下トンネルを掘って二つの銀行襲撃を企てたPCCグループ二十六人を逮捕し、さらにサンパウロ州ボトゥカトゥ市でブラデスコ銀行襲撃を計画していた十三人を逮捕した。
 同グループはPCC銀行と呼ばれる金庫を保有し、麻薬や武器の購入に多額の資金を必要としている。当局は通常の犯罪と違い、幹部からの指令がなくても下部組織の判断で銀行強盗を行うことが急増しているとみている。
 銀行の警備員の減少など、銀行側の治安対策の不備も原因として挙げられている。回転ドアの故障で金属探知機が作用していないのも目立っている。銀行強盗での犠牲者の増加も当局の憂慮する材料となっている。過去一年間で十二人が犠牲となった。銀行員と顧客が主だった。
 最近ではピニェイロス区のスダメリス銀行の女性副支店長が強盗に撃たれて死亡している。犯人は何も奪わずに逃走した。当局によると、逮捕したほとんどの銀行強盗犯は経験が浅い〝素人〟で、すぐに発砲すると説明している。当局では過去四十五日間で、十九件の強盗犯人ら二十五人を逮捕している。

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