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銀行ローン需要は頭打ち=借金漬けの家計=不払いも6年ぶり高水準=金利低下で状況改善か

2006年9月27日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】中銀の発表によると、八月度の銀行クレジットが七月度とほぼ同じ水準で推移したことから、銀行ローンの需要は頭打ちになったとの見方を強めている。この原因として家庭の月賦やローンが上限状態となり、新規にローンを組む余裕がないことを挙げている。経済アナリストの中には一時的現象とする向きもあるが、これからの年末商戦に向けて消費経済のかげりを憂慮する見方が強い。いっぽうで、ローンの不払いは増えており、これまでのピークだった二〇〇〇年十二月以来の高水準となった。
 八月度の銀行クレジットは上昇率が小幅に終わり、停滞の度合いを強めている。GDP(国内総生産)に占める割合が三二・八%で、五月度および七月度の三二・六%とほぼ同水準で終わった。
 中銀のロペス経済局長は、開発途上国の指数の中でも最も低水準に位置しているとして、経済動向に懸念を示している。しかし消費経済にかげりをみせているものの、グロバール経済に変動はないとみている。現に昨年一年間でGDP対比は二六・九%から三一・二%に急伸した。今年に入ってスローペースに転じた。
 このため消費経済の停滞は家計が借金漬けになっており、商店などの長期月賦販売に乗じて上限ギリギリのローンを組んだ家庭が多いのが原因だと指摘している。このため、個人向けのフリークレジット(法にとらわれない貸付)は六月の時点で二九・七%だったのが、七月は二八・二%、八月は二六・七%と減少した。
 クレジット需要の減少にともない、フリークレジットの金利も引き下げ傾向を見せている。八月度の金利は前月の年利四二・二%から四一・八%へと引き下げられた。
 中銀筋によると、この傾向は今後も続き、史上最低となっている。二〇〇〇年十二月の四一・七%を下回るのは時間の問題だという。実際に今月十三日には〇・三ポイント下げて年利四一・五%まで下げた。ローンの期間も長期化し、これまでの平均の三四一日から三四五日となっている。さらに銀行間の競争と、金利の引き下げにより貸し出し期間が延長され、これまでの最長期間の二〇〇一年六月の時点での三四九日を記録更新すると見られている。
 いっぽうで、ローン不払いや放棄は八月度で前月の四・八%から五%に上昇し、これまでの最高水準だった二〇〇〇年十二月の五・一%にあと一歩と迫った。
 経済アナリストらは、市場の活性化に基本金利(SELIC)の引き下げは不可欠だとして、十月に行われる通貨政策委員会(COPOM)の次回定例会議でさらに〇・五%の引き下げが行われるとの見方を強めている。前回の引き下げが、一般が予想していた〇・二五%に反して〇・五%の大幅となったことで、金融筋では次回は〇・二五%に落着くとみている。しかし経済アナリストらは、インフレが抑制されたことと、今年上半期のGDP成長が予想に反して低率だったことから、経済のテコ入れにも大幅引き下げに応じるとみている。