ブラジル日本都道府県人会連合会(松尾治会長)が主催する第二十六回移民のふるさと巡り一行、八十四名が、二十四日、パラグアイのイグアスー移住地を訪問して、移住地の仲間と一緒に環境保護のための植林を行った。参加者は百名を越えた。前日の雨が上がって、雲ひとつない晴天となり、格好の植林日和だった。
植えた場所は、イグアスー日本人会所有の植林用地。植えられた樹種はインガ・Inga(学名Inga uruguensis)、ウブラプタ(カナフィスト)・Yvyra pyta(Peltophorum dubium)、クルパウ・Kurupay(Piptadenia peregrina)、クルパウナ・Kurupay’ra(Parapiptadenia rigida)、セドロ・Cedro(Cedrela fissilis)、ラパチョ・Lapacho(Tabebuia spp)の六種類。ラパチョはブラジルではイペーと呼ばれている。
植えられた苗木の脇には一人ひとりが自分で書いた名札を立てた。それぞれの思いや夢が書かれた名札も目についた。
イグアスー日本人会が作成した「入植五十年に向けた植林活動と環境教育」計画が日本経団連自然保護基金に認められ、二〇〇五年度枠で助成金を得た(本紙・七月二十七日報道)。これを受けて、五月中旬から移住地の有志が植林を始めた。日本、米国、ウルグァイなどからの来訪者が植林活動に参加して徐々に機運が盛り上がり、二十四日の合同植林となった。
今回のふるさと巡りに参加したのは北海道から沖縄までの三十三都道府県出身者で、サンパウロ州だけでなく、パラー州、マット・グロッソ州、リオデジャネイロ州在住者も含まれていた。
植林を済ませて日本人会館で行われた交流会で、天達市雄団長(県連副会長・在伯鹿児島県人会会長)が述べた、「今朝は楽しい植林だった。花が咲く頃にまた来たい」という一言が参加者の気持ちを代弁していたようだ。
一行を迎えた日本人会の福井一朗会長(岩手県出身)は、「植林活動が交流に役立つことを知った。森林を伐採することによって発展してきたこの移住地も、植林を避けて通れない時期を迎えている。今日の経験を今後の活動の糧としたい」、と力強い抱負を披歴した。
一行が次の交流地に向かった直後に、日本人会関係者が植林現場に行き、植えられた苗木一本一本と植えた人の名札を確認して〃台帳〃を作った。これで、植えた人が現場をいつ訪問しても、自分が植えた木を間違うことがないであろう。
地球規模の温暖化や森林破壊の危機が叫ばれて久しいのに、植林行動が追いつかない現実の中で、移住者同士の交流に植林を組み合わせた今回のような動きは注目に値する。個々の規模は小さくとも、行動の輪が点から線へ、そして、面に広がれば、無意識のうちにでも、日系コロニアによる南米大陸における環境保護への貢献が成就するはずだ。
パ国イグアスー移住地で植林=「移民のふるさと巡り」の一行=植えた人の名札つけ=将来の生長見守れる
2006年9月28日付け