刑務所での服役を免除=経費節約になり適用者急増
2006年9月29日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】ブラジルの刑法には、初犯でかつ四年以内の刑期の罪を犯した者に対して、刑務所での服役が免除される選択肢つきの刑罰(アルテルナチーヴォ)が存在する。刑が確定してもこれまで通りの生活が営まれる。ただし犯罪の性格により、定められたボランティア活動や公共施設への寄付などが義務づけられている。これらの活動では前歴は一切公表されない。
刑務所が定員オーバーで人道問題に発展している中で、このシステムは経費節約(服役囚一人当りにつき月一〇〇〇レアルを要する、いっぽうの服役免除は五〇レアルで済む)をともなうことで急増している。
このシステムはこれまで統計不足だったが、このほど調査機関の調べで実態が明らかになった。一九八四年に現行の刑法が発令された時点で、このシステムは存在したが、適用はごくわずかだった。九七年に二〇〇〇人が対象になったが、二〇〇五年末では九万人となった。前述の刑務所環境を考慮に入れると、今年七月には一五万人になったとみている。
サンパウロ市で現在実行されているのは五九六三人で、このうち八七%は犯行時に定職にありついていたもので、引き継ぎ勤務を続けている。さらに三六%は十八歳以下の子供を抱えており、犯罪者の烙印を押されると社会復帰が困難なことから、家庭崩壊の防止にもつながっている。
対象者のうち九一・九が男性で、残り八・一%は女性、白人が六〇・八%で、褐色が二七%、黒人が九・一となっている。年齢では十八歳から二十四歳までが四二・六%と最も多く、二十五歳から三十歳までが二〇・六%、三十一歳から四十歳までが一九・四%、四十歳から五十歳までが一三%となっている。所得層では最賃一カ月から三ヵ月までが三八・一%で最も多い。
この種の刑法適用では逃亡が常に論議の的となるが、このシステムではこれまで義務を怠った九二%が再出頭して遂行したという。犯罪のなかでは交通事故が最も多く、マナー無視の人身事故や無免許運転が原因となっている。