コラム
文協水曜シネマの来場者たちにブラジル日本移民史料館が所蔵する写真の被撮影者照会を行ったところ、三人の素性が明らかになった。
意外だった。特に戦前史料などの確認は、遅きに失したと思っていたからだ。
「今がギリギリの線。これからもっと分からなくなる」と同館学芸員の小笠原公衛さん。個人写真だけでも一万枚。地道な作業を通して伝わってくる「コロニアの歴史を埋もれさせない」という思いに応えた来場者が多くいたことは心強い。
百周年協会のあしあと委員会が戦前移民名簿をローマ字化し、記録に残す作業を進めている。これも後世に評価される作業だろうが、きっかけは同様、個人の心意気に過ぎない。
この民族的実験の歴史を将来に残すことは日本の国益にも繋がるだろう。もっと広いレベルで出来ないものか。(剛)
2006/09/29
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