仏連(ブラジル仏教連合会)は、今年も奥地慰問布教を行っている。さきにグァタパラ移住地と、ミナス州内三市、これから南マットグロッソ州を訪問する。お寺のある町から離れたところ、がねらいである。先没者のためにお経を読んでほしい、と常々望んでいる信心深い仏教信者にとっては、干天の慈雨ともいうべき訪問であろう▼きけば、この奥地慰問布教の費用は、釈尊讃仰会と仏教婦人連盟が、仏連とともに催している花まつりなどの年中行事の収益剰余金から出ている。有意義につかってもらおうとの配慮の結果、企画された、仏連の伝統事業なのである▼「慰霊法要をしてほしい」という奥地からの希望も募っている。現地で案内だけしてもらえれば、あとの費用は仏連負担で、と、いっている。遠慮せずに申し出たらいい▼仏連は、この行事にもう一つ目的を持たせている。ブラジルに着任してまだ日の浅い若い開教使(僧侶)たちの「研修」である。都会だけでのおつとめでなく、かつての日本移民の開拓の現場に立ってほしい、という願いだ▼現在、その地に原始林はなく、農牧地となり、舗装道路も開通しているが、それでも現地に行って、開拓時代の移民たちに思いを致してほしいという。五〇年代、南米における浄土宗の先覚者・故長谷川良信師は、開拓真っ只中の南マ州に入った。ぬかるみの中、開拓者たちに声をかけて歩いたのである。現代の慰霊も、「より先駆者たちに近づく」ことだといっている。(神)
2006/09/29