サンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)の定例役員会が二十八日に行われ、同協会五十周年の記念事業として計画を進めている「援協総合福祉・医療センター」(仮称)の建築計画書(原案)が建築合同委員会から提出され、役員らの承認を受けた。面積千三百五十平方メートル、二百七十万レアル(一億四千百万円)の土地に、地下三階、地上五階建てのセンターが建設される計画だ。
役員会では、八月分の総合会計報告や活動実績などの議事のあと、各委員会からの報告が行われた。センター建築合同委員会の森口忠義イナシオ委員は「何回も集まって意見を合わせ、できたものです」と計画書を説明する。
現在診療所があるサンジョアキン街は、地下鉄サンジョアキン駅からの道で、急な坂を通らなければならない。「建設予定地のリベルターデ区ファグンデス街なら、地下鉄の駅からなだらかな道を歩いてくることができます」。
外観の予想図には一般的な四角い建物と、丸みを帯びた建物の案を仮に出した。正面玄関横には、バスが入ることのできる広い入り口を設け、建物周縁には中庭と採光用の半透明な屋根が作られる。
地下一階から三階の空間は駐車場がほとんどを占める計画だが、「この近隣には大学があり、夜には駐車場からの収益が見込める」との見方からだ。
地上階の床面積は五千四百平方メートル。一階、二階は診療所、三階に福祉部(図書室、リハビリセンター、デイサービス室など)、四階に自閉症療育学校、福祉展示室、研修センターなどが入る。五階には本部事務局や多目的ホールが設けられる予定。
各部署からの要望を取りまとめ、病院のフロア設計の経験を持つ建築家が原案を作成した。役員会での承認を得、これから本格的な設計に取り掛かる。専門の建築設計事務所三社程度に設計図製作を依頼。入札で選定した後、工事経費をもとに建築予算案が作成される。
計画案は、質疑もなくすんなりと承認された。坂和三郎議長(副会長)は「着々と企画ができて、頼もしいです」とコメントを挟んだ。
また、同役員会では総合診療部が、診療費や検査費を従来の値段から五%引き上げることを報告、承認された。日伯友好病院は、この九月から既に五%の診療費などの値上げを行っている。坂和さんは、「内部状況が厳しいので、前々からいわれてきたことです。ほんの少し上がるだけですよ」と話した。
福祉医療センター形を見せる=援協役員会、計画書を承認=地上5階に〃機能〃ぎっしり=これから本格設計
2006年9月30日付け