2006年9月30日付け
ブラジル日本移民百周年の四大記念事業の一つ、ノロエステ連合日伯文化協会(白石一資会長)が主催団体となっているアラサツーバ文化センター案が白紙に戻ったことが、ニッケイ新聞の取材で分かった。白石会長は、「日本からの支援を期待していたが、可能性がないと判断した。この金額は地元だけの調達は無理」と話し、ノロエステ地方の日本文化発信基地としてのセンター計画案を断念したことを明らかにした。いわゆる「箱物4事業」ではじめての計画頓挫。記念協会の今後の方向性にも影響を与えそうだ。
このたび明らかになった、アラサツーバ文化センター案の計画断念。ブラジル日本移民百周年記念協会の吉岡黎明総務委員長は「知らなかった」と話し、「協会としては全ての事業に責任があるわけではなく、それぞれの主催団体が委員会を作り検討するべき内容」とコメントするに留まった。
同センター案は、すでにアラサツーバ市から土地(一千四百万レアル相当)の提供を受けており、建築費に一千二百八十万レアルを計上、〃日本移民のふるさと〃であるノロエステ地方の日本文化発信基地として期待されていた。
しかし、日本政府からの資金援助の可能性がほぼない状況を受け、今回の決定を行ったという。同協会では今月二十四日に臨時総会を開催。白石会長が経緯を説明し、正式に承認されている。総会では、関連事業を地元式典、皇室訪問の二点に絞るとする、これからの方向性を確認したという。
ノロエステ連合の五十嵐次郎名誉会長は、〇八年はアラサツーバ市制百年と重なることもあり、「地元でも期待されていた」と残念がる。「多くの移民が入植したノロエステは、日本移民のふるさと。失礼のないよう皇室をお迎えし、式典を行いたい」と話している。