【エスタード・デ・サンパウロ紙一日、二日】GOL航空のボーイング七三七―八〇〇型が二十九日午後四時四十八分に管制塔との連絡が途絶えたまま、消息を絶った。その十五時間後の三十日午前九ごろ、空軍偵察機がマット・グロッソ州のインジオ保護地区の森林地帯に墜落した機体を発見した。
同機はマナウス発リオデジャネイロ行きの定期一九〇七便で、乗客一四九人、乗員六人の計一五五人が乗り合わせており、全員の生存が絶望視されていることから、犠牲者の数では国内民間機史上最大の事故となった。
事故の原因を調査している民間航空局は、同じ時間に飛行中だったエンブラエル(航空機製造公団)製の小型ジェット機レガシー型と空中で接触したものとみている。ジェット機は左側の尾翼と方向指示翼が破損してパラー州の空港に不時着した。乗員も合わせ五人は無事だった。パイロットはボーイングとの接触事故を認めているという。航空局では詳しい事情を聴くと共に、ブラックボックスの検分を進める。
ボーイングは十五時三十五分にマナウスを出発、十八時十二分にブラジリアに立ち寄る予定だった。しかし十六時四十八分に空軍管制塔との連絡を絶ったため、空軍偵察機が緊急発進して捜査に当たっていた。
偵察機は三十日九時、マット・グロッソ州ペイショット・デ・アゼベド市近くの森林地帯に墜落した同機を発見した。直ちに空軍および陸軍の救援部隊が出動したが、現場が原生の密林地帯で立入りが困難だった。午後に入り、二人の隊員がヘリコプターから縄梯子で降りて、ヘリコプター着地場所を作った。
現場の状況から軍事筋では「奇跡が起きない限り、生存者の可能性はない」とのコメントを発表した。一日から約一〇〇人の救助隊が活動を開始、最初の二遺体を収容した。遺体の損傷が激しいことが予想されるため、クヤバー市とブラジリアの法医監察でDNA鑑定が行われる。
今回の事故に関し、関係筋では三つの疑問を指摘している。一つはボーイングの高度は一万一九〇九メートルで、ジェット機はそれよりも三〇三メートル下のはずなのに、何故接触するまで高度を上げたのか。国防管制塔がこの点で警報を発したにもかかわらず、両機から何の応答もなかったのは何故か。両機には異常接近警報器がついているにもかかわらず、作動しなかったのかなどを挙げている。
犠牲者の家族らは航空会社および政府筋から満足な情報を得られず、不満を爆発するとともに、生存に一縷の望みをつないでいる。
旅客機、森林地帯に墜落=乗客乗員155人絶望=空中で小型ジェット機と接触
2006年10月3日付け