【時事、エスタード・デ・サンパウロ紙三日】海外のマスコミは、ブラジルの総選挙をどう見ているのか。金融市場を中心に、各紙を追ってみた。スキャンダルにまみれたPT政権体質は、ヴェドイン調書で国民の支持票に風穴を開けたというのが共通の見方。
ニューヨーク・タイムスは飛行機事故と重なり、ブラジルは曇天なりと報じた。ルーラ大統領は〇二年選挙でも決選投票で政権を獲得し、その後度重なる不祥事を引き起こした。近代化された中央西部と南部諸州の支持を得たアウキミン候補を差し置き、僻地州の支持でルーラ候補が再選されることに疑問を呈した。
スペインの各紙は、PT政権時のスキャンダルが決選の機会を作り、政治的腐敗にスポットを当てるため再選に待ったを掛けたという。仏ル・モンド紙はPT政権の続投が、流産しそうだと見ている。
英国のガーデアンが、投票箱の前で汚職容認の考えが変った有権者は、多いと評した。景気回復と貧困撲滅に功績があったものの、PT政権見直しの機運が高まっていると論評をした。同紙は続投の夢が不透明となったいま、大統領の心が傷ついたとする述懐を葛藤と見て重要視した。
英紙フィナンシアル・タイムスは、アウキミン候補の写真を大写しに載せ逆転を期待しているようだ。ルーラ大統領への絶大な国民の支持に圧倒され、同候補は二〇一〇年への再出馬を模索した筈だという。しかし、PT政権の経済成長率を突けと暗示している。
ロイターはブラジルの株式と外為市場が、決選投票を受けて不透明感が高まったと報じた。終盤でアウキミン候補が追い上げ、差を一気に縮小。政局は、さらに四週間混迷しそうだと見ている。PTの悪質な選挙工作は、株式や通貨を三か月ぶりの安値まで下落させた。しかし、PT政権はインフレ抑制や債務支払能力を高めた通貨政策で投資家から信頼感を得た。
ブラジルの実業界はアウキミン候補が、経済活動の活性化に向け金利と税金の引き下げにつながる政策を実施すると期待している。同候補はインフレと債務などマクロ政策では全般的に従来路線を維持するが、より組織化しスキャンダルも減少すると見ている。
外紙トップで選挙報道=動向を注視する国際金融界
2006年10月4日付け