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メトロ作業員が事故死=土砂崩れの下敷きに=過去2年間で7件の事故

2006年10月5日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】サンパウロ市内に新設予定のメトロ車線ルース駅―ビラ・ソニア区間の地下工事現場で三日、土砂崩れが発生し、作業員二人が下敷きとなった。うち一人は、背骨を骨折したため身動きが取れず窒息死した。もう一人は、手足を打撲したものの命に別条はなかった。
 この地下鉄工事は地盤沈下による住民の家屋が傾いたり、壁のヒビ割れなどの被害が相次ぎ、住民が抗議するなど物議をかもしていた、いわく付きのもの。工事を開始した二年前から今回の事故を含むと七件の事故が起きているが、犠牲者がでる人身事故に及んだのは今回が初めて。また地下鉄工事としては、初めて民営化したことでメトロ従業員らが抗議デモを行って話題を呼んだ。
 工事責任者の請負会社は、南米でもトップクラスの技術を有しているとのコメントを発表した。
 今回の事故は、オスカル・フレイレ駅の建設予定地の地下二五メートルのプラットホーム工事現場で発生した。被害にあった二人の作業員は、土砂崩れを防ぐために八〇センチの間隔で二三メートルに及ぶ壁に銅板を取付ける作業をしていた矢先だった。この工事には二六〇〇人の作業員が従事しているが、事故現場には四〇人が居合せた。
 従業員の証言によると、二日から土砂崩れの兆候があったという。工事責任者はこれを否定した上で、この先も土砂崩れの再発はあり得ないと主張している。サンパウロ市市民よう護局は、事故の原因と、今後の安全性を確認するために工事の中断を命じた。
 これまでの事故は昨年三月、建設中のブタンタン駅で作業員が誤って都市ガス配管を切断したためガス爆発を起こし三人が負傷した。また十一月もフラジッケ・コウチニョ駅で同様の事故が発生したが、ケガ人は出なかった。
 十二月二日にはビラ・ソニア駅で鉄棒が落下、従業員が二七メートルの地下に落下して足を骨折した。同三日にはピニェイロ区で地盤が沈下、民家五軒の住民が避難した。同七日には、ルス区で商店の壁が崩れ落ちた。
 今年四月にはピニェイロス区で民家八軒が傾いたり壁のヒビ割れで、これまた避難を余儀なくされた。