ホーム | 日系社会ニュース | イビラプエラ=「南米講道館」有効活用=初の大規模強化練習=欧州、南米から14カ国、200人=柔道国際交流の拠点=積年の夢、具体化へ

イビラプエラ=「南米講道館」有効活用=初の大規模強化練習=欧州、南米から14カ国、200人=柔道国際交流の拠点=積年の夢、具体化へ

2006年10月5日付け

 日本政府の「草の根文化無償資金」の援助を受け、今年三月に完成したサンパウロ市イビラプエラの「南米講道館」(柔道オリンピック・アリーナ)は、〃南米柔道の中心拠点〃として有効に活用されている。
 現在は先月二十五日から同館で、ヨーロッパや南米各国の柔道選手が集まり、強化練習がおこなわれており、十四カ国、二百人が参加。この規模の国際強化練習がおこなわれたのはブラジル柔道史上では初となる。イギリスやオーストリア、スロヴェニアなどのヨーロッパ各国をはじめ、エクアドル、チリ、ドミニカ共和国、ベネズエラなどの南米各国から選手が集まり、毎日厳しい練習に励んでいる。
 同館が完成して半年。この間に日本の一線級の柔道選手十五人を招いて合同練習がおこなわれたほか、七、八月にはエクアドルやベネズエラ、アルゼンチンが強化練習に訪れている。
 ブラジル女子柔道コーチのロジクレイア・カンポスさんは「外国から来た選手もみんなこの道場を気に入っている」と笑顔。イギリス代表団の監督も「どうやってこの会館が建設されたのか」と興味深げに彼女に尋ねたという。
 海外の選手たちにとって、外国への遠征というと、これまで日本やヨーロッパ各国が中心だった。南米には選手を招いて合同で練習できるような場所は少なく、年々レベルを上げてきた南米各国の柔道選手との交流の機会も少なかった。
 そのため柔道専用道場としてつくられた「南米の講道館」は、ブラジルをはじめ南米の柔道関係者にとっては積年の夢であった。熱気溢れる道場のなかで、全伯講道館柔道有段者会の岡野脩平会長は「ここを柔道を通した国際交流の拠点にしたい」と力強く語っていた。
 今回の練習は来年七月に予定されているパン・アメリカン柔道大会、その年九月にリオで開催される世界柔道選手権大会を見据えたもの。海外の選手にとっては日本式の柔道と似ているブラジルの選手と練習をすることで、対日本戦を意識した大事な練習になるという。
 この練習には、サンパウロ州政府の協力で文武両道の精神のもと、英才教育を受けている若手のブラジル人選手も多数参加。国際クラスの選手との練習の中で、日々腕を磨いている。
 取材した三日の練習には、今年七月に赴任した武田幸子副領事も見学に訪れた。世界中から集まった選手の気迫ある練習を見て、「会館が役に立っていて嬉しいです。今後も是非有効的につかって欲しいです」と話していた。
 「ブラジル柔道の歴史は移民の歴史と同じ」と岡野会長。各国の柔道家が熱心に練習する様子を見ながら、先人の苦労と努力の積み重ねの上に成り立つブラジル柔道の今をしみじみ語っていた。
 練習は七日までの予定。午前九時半から十一時(寝技のみ)と、午後五時から七時までの女子、九時までの男子の練習を見学可能。場所はサンパウロ市イビラプエラ体育館横。