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急成長遂げる電話業界=携帯は年内1億台に=はじめて固定電話を上回る=輸出も競争力上昇

2006年10月6日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】電話の普及および技術改良は国内通信業界に一大革命をもたらした。固定電話は二〇〇二年から横ばいの増加となっているものの、携帯電話の普及は目ざましく年内の保有台数は一億台に達すると見られている。昨年は史上初めて携帯電話が固定を上回った。一九九八年の民営化が功を奏したもので、この間、保有台数は一三倍に増加した。それ以前は固定電話の回線拡張が発表されると、購入のために徹夜で列を作ったものだった。
 電話公団のテレブラスが一九九八年に民営化に移行されるまで、ブラジルの電話事情は惨々たるものだった。電話があっても回線が少ないため交信ができず、たとえ出来てもすぐ切れたり、あるいは雑音がひどかったり音量が低くて聞きとりにくく、電話は飾りものだった。とくに田舎では無用の長物となっていた。電話を申し込んでも取付けに六年はかかったものだった。誰しもが電話に泣かされたエピソードがある筈だ。
 米国人ジャーナリスの男性もその一人だ。ブラジル人妻と結婚した一九八八年、サンパウロ市イジエノポリス区のアパートに移り住んだ。ある夜、友達と飲み歩いて朝の五時に帰宅したが、鍵を持って出るのを忘れたことに気がついた。アパートの前にある公衆電話に行ったが、電話コインを持っていなかった。
 当時市内でのコレクトコールは受付けられなかったので、電話交換手にサントス市からだと嘘をついたがバレて電話を切られた。思い余って一計を案じ、米国カリフォルニア州の実母にコレクトコールをかけて、妻に電話するよう依頼した。無事に家に入ることができたが、早朝、しかも日頃から折り合いの悪い義母に叩き起こされた妻は怒り狂い、その後数日間は夫婦ゲンカが続いたという。 しかし一九九九年以降は様変りとなった。民営化により技術改革がされると同時に普及も飛躍的に伸びた。固定電話の保有台数は九八年の二〇〇〇万台から九九年は二五〇〇万台へ、その後各年毎に三〇九〇万台、三七四〇万台、三八八〇万台と急増した。二〇〇三年からは伸びが止まり三九二〇万台、三九六〇万台、三九八〇万台と横ばいとなり、今年は三九九〇万台になると見られている。
 いっぽうで携帯電話は一九九八年にわずか七四〇万台だったのが今年の末には一億台を突破すると予想され、実に一三倍の伸びとなった。八月の時点で九四九〇万台となっており、業界では年末までに一億八〇万台、二〇一〇年には一億四二三〇万台に達すると見ている。国家地理統計院(IBGE)の発表によると、携帯電話は昨年、始めて固定電話(四八・一%)を上回り、五九・三%の割合となった。
 携帯電話の八〇・七%が前払い方式(プリペイド)で、一分間の使用料は固定より高いものの、月間の使用量が少ないのが急成長の原因となっている。回線技術はGSM(六〇・四%)が多く、次いでCDMA(二六・四%)、TDMA(一三・一%)となっている。オペレーターはVIVO(三〇・三%)、TIM(二四・九%)、CLARO(二三%)が主なところ。
 通信業界の売上げは一九九九年の五〇四億レアルから、昨年は一三四二億レアルへと一六六%上昇した。携帯電話の輸出は国内の旺盛な需要に支えられて低コストとなったことで国際競争力がついている。昨年の実績は二四億ドルに達し、今年上半期ではすでに一三億四〇〇万ドルと、昨年同期の一六%増で気を吐いている。