【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】大統領選の決選投票で対決するルーラ大統領とアウキミン前知事は八日、テレビ公開討論会に臨み、公約は後回しにして告発の応酬で白熱の舌戦を展開した。前知事は緒戦から先鋭スタイルを採り、PT(労働者党)の汚職体質を徹底的に暴いた。大統領は、サンパウロ州議会のCPI(議会調査委員会)設置阻止やカルドーゾ前政権批判、社会福祉政策の不備を突いた。討論会には「歪曲」や「能力不足」、「尊大」「軽率」などの過激な言葉が行き交った。聴取者の反応は、アウキミン候補がやや優勢のようだ。
討論会終了後の聴取者の感想では、アウキミン候補の剣幕に圧倒されたとする意見が多い。五ラウンドのうち二ラウンドは、ルーラ大統領が一方的に打ちのめされたという。
アウキミン候補は,人間コンピューターのように数字をしっかり把握していた。大統領は、よろめきながら皮肉で対抗したり、一休止を入れようとする場面などもあった。
ヴェドイン調書では、アウキミン候補が購入資金の一七五万レアルは、どこから捻出したかと質問。大統領は、カネの出所よりも悪質な悪戯を仕組んだ奴の顔を見たいと反発した。連邦警察が捜査中という返答に、アウキミン候補はいった。そんなことも知らないなら、中銀幹部や党首、省庁高官が焼肉パーティで資金集めをしていることも知らないだろうと。
大統領は、救急車汚職がカルドーゾ前政権の遺産であり、その黒幕がアウキミンサンパウロ州政府では州高官に起用されたと皮肉った。救急車汚職の関与者は前政権時代に、刑務所へ入れるべきであったと糾弾。サンパウロ州議会は、六九CPI設置要請案を握り潰したとも告発。
公開討論会を撮影するカメラの後では、両候補の選挙指南がサインを送る。PTは、ジョアン・サンターナ氏。PSDBは、ルイス・ゴンザレス氏。休憩時間は貴重なひととき、双方の重鎮が応援。討論会の最中も、新情報の実弾メモを両候補に渡す。
大統領が社会福祉政策を強調したのに対し、前知事は経済成長率を指摘。今回討論会の結果を調査したプロバイダーは、アウキミン候補がUOLで六四%、Globoで五九・四八%優勢と発表した。引き分けが一・四六%。双方後退が二・五%という。
ブラジル経済に関する討論で関係者は、両候補の差が明白になると見ている。外交政策ではPSDBが、ブラジルは安保理入りで失敗しただけでなくWTO(世界貿易機関)でも失策、亞国には足を踏まれっ放しで完敗だと糾弾。
輸出の六〇〇億ドルから一三〇〇億ドルへの成長は、PT外交政策の勝利示唆だという。PSDBとPFL(自由前線党)連立政権は、公社の民営化に熱中するあまり民営化するものがなくなり、アマゾナス熱帯雨林を民営化するところだったと訴えた。
バデイランテス・テレビ局は公開討論会の視聴率が、平均視聴率一四ポイントを大きく上回り、国内サッカー優勝決定戦並みの二〇ポイントに達したと発表した。一ポイントは、五万五千世帯に匹敵する。
「大統領選 公開討論会」白熱の舌戦を展開=両雄は糾弾の応酬=過激発言で公約を忘れる=熾烈な水面下作戦も進行
2006年10月10日付け