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県連「ふるさと巡り」=パラグァイ、アルゼンチン、ブラジル=3カ国走破=連載(1)=まずイグアスーの滝へ=至便の交通網、今昔の感

2006年10月11日付け

 「三カ国四つの世界遺産を巡る九日間の旅」――。第二十六回を迎えた県連主催の「移民のふるさと巡り」が、先月二十二日から三十日にかけて実施された。初参加からベテランまで約八十人が参加した今回は、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジル三カ国を逆時計周りに移動。総距離は約三千八百キロ。イグアスー移住地をはじめ、今年入植七十周年を迎えたパラグアイの各移住地を訪問したほか、三カ国にまたがって今も残るイエズス会の教化部落遺跡「ミッション」を観光するなど、充実した内容であった。参加者はふだん「巡り会えない」遠方に暮らす人たちとの温かい交流に胸を打ち、国と国を越えた固い絆を育んだ。「また必ず訪れたい」。忘れられない思い出となった今回の旅を連載で紹介する。

 二十二日午後四時。サンパウロ市リベルダーデ広場を出発。道中、一号車の後輪が破損するトラブルもあって、予定より四時間ほど遅れた二十三日午前十一時、イグアスーの滝で有名なブラジル国境の町フォス・ド・イグアスーに到着した。
 同地は、世界遺産のイグアスーの滝観光やイタイプーダムの建設事業によって発展。現在、人口三十万人を数える観光都市で、市内は区画整理され、落ち着いた雰囲気がある。
 夜明けから降り続いた雨も影響して、午前に予定していたイタイプーダムの見学は中止。「楽しみにしていたんだけど」と残念がる声が聞こえる。気分を仕切り直して、ホテル近くのシュラスカリーアでお腹を満たした。
 一行を乗せたバスはイグアスーの滝を目指して、大型バスが駐車場にひしめき合う観光ホテルを横目に走った。「八割以上はアルゼンチンのバスです」とガイドの説明。滝の全景が見やすいブラジル側へわざわざ国境を越えてやってくるのだという。
 国立公園の入り口に到着したのは午後三時ごろ。雨もやんだ。シャトルバスに乗り、ペルー人ガイドのエクトルさんの案内で、滝の目玉である「悪魔ののど笛」に通ずるハイキングコースを歩く。
 滝は一九八六年にユネスコの世界遺産に登録された。幅四キロ、高さ八十メートルの間に大小約三百の滝が段をなして連なり、その様相は圧巻だ。
 滝があるブラジル側の十七万平方メートルの森林は国立公園に指定され、ハイキングコースとしても人気を集めている。
 途中、列になって細い道を進んでいくと、クアッチーと呼ばれるアライ熊に似た動物に遭遇した。人馴れしているのか近づいても動じない姿に、逆にこちらが動じてしまう。
 「小学校以来ね。ピクニックに行くみたい」。ふるさと巡りに十七回参加している多川富貴子さん(69、三重県出身)は一歩一歩力強く足を運ぶ。初参加の近藤満州美さん(73)も「昔来たことがあるけど道がよくなっている」と懐かしそう。「そういえばあの時は今日よりもっと水が多かったよ」。
 滝は例年以上の水不足と報道されたが、この日は前日から降った雨のおかげで水量も回復。「例年の六割ほど」とは言え、迫力あるパノラマの風景が広がっていた。
 後ほど訪れるアルゼンチンのポサダスでは西田洋助さん(72)が「あの当時は私が住んでいたイラプルーからイグアスーまで、バスや飛行機を乗り継いで三日もかかりましたよ」と話していた。今から五十年ほど前に単身でイグアスーの滝を訪れた時のことだ。「帰りも三日かかったよ。滝一つ見るのに一週間。今は交通網もよくなって大分便利になったよね」。
 記念写真を撮るなどして観光を楽しんだ一行は、午後五時ごろホテルに戻った。
 (つづく、池田泰久記者)