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煙草密輸団97人を逮捕=主犯格は中国人兄弟=輸出免税品を国内に流通

2006年10月12日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】連邦警察は十日、全国十一州で一斉にタバコ密輸組織の摘発を行い、組織団九七人を大量検挙した。組織は異なる州を本拠地とする国内三大組織で、捜査は今年一月から三班に分かれて内偵が続けられてきたが、立件ができたとして一斉検挙に踏み切った。
 逮捕には七五〇人の捜査員が動員され、タバコの現物のほか、高級輸入車や武器が押収された。連警によると、脱税のみで年間六億レアル以上に上がり、総額で四〇億レアルに達すると見ている。三大組織は底辺で情報交換、物流などでつながっていたことから、国内では空前の密輸摘発となった。
 連警では逮捕したサンパウロ州組織団のうち、ダニエルおよびダヴィ・ヤング・チンの中国人兄弟を全国的な主犯格とみて、背後関係を追及している。同兄弟は、サンパウロ市郊外でタバコの製造および販売のスダマック社を経営している。
 スダマック社は製造している八種類のタバコのうち、二種類を輸出専用として偽申告をして国内で流通していた。手入れを行った連警は、在庫されていた二万三〇〇〇個の輸出用タバコを押収した。これだけで時価一三〇〇万レアルに相当する。
 このことから同社は、過去二年ないし三年間で少なくとも一〇〇〇万レアルに上がる脱税をしていたと見ている。またこれに限らず、パラグアイでもタバコ会社を有していることを利用し、パラグアイ製のタバコと称して国内で製造した偽ブランド品を販売していた。
 これにより現物がリスクを冒して国境を越えることがないので、頭脳的犯罪と見られている。サンパウロ州では、このほか組織員二五人が逮捕された。この中には連警、国税局、弁護士などが含まれている。
 摘発を受けた別の組織は南マット・グロッソ州に本拠を置き、パラグアイに輸出されたブラジル製タバコを密輸入していた。このほか麻薬や武器の密輸の疑いも、もたれている。首領格は数十社の会社を経営し、過去五年間で一億レアルの資産を所有するに至った。当初の資金源は前出の中国人兄弟の仲介で、アメリカ在住の中国人だと見られている。
 三ッ目の組織は、ナタル市を本拠に東北伯で暗躍していた。パラグアイの逆輸入品のほか、前出のスダメックス製品を大量に販売していた。