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現実路線に大幅見直し=百周年執行委員会=組織改革が急務=吉岡総務委員長は退任=一世の参加呼びかけ

2006年10月12日付け

 まずは組織作りを――。ブラジル日本移民百周年記念協会の松尾治執行委員長は十日に行われた執行委員会に関する記者会見を十一日午前に開き、組織変革の大枠を説明した。遠山景孝・執行委員会広報担当が同席した。小委員会の強化、百二十四の事業・予算案の見直し、吉岡総務委員長の退任などを発表、現実路線型での松尾体制を敷く考えだ。小委員会への参加を広くコロニアに呼びかけ、実動力のある組織作りを目指す。大きな発表はなかったものの、足元を固めながらの松尾新執行部の船出となりそうだ。

【日本側の厳しい現実】
 松尾委員長は冒頭、兵庫国体の招聘により訪れた日本で、外務省を始めとする各機関を訪問したことを説明、「百周年に対する態度は非常にネガティブなものだった」と感想を話した。
 外務省では、百二十四のプロジェクトに対して、詳しい事業内容や必要性などの説明を求められ、事業の見直しの必要性を再認識したという。
 現在あるプロジェクトは、日本からの援助を前提に予算案が組まれていることから、「予算の見直しも早急に行いたい」とした。
 中矢レナット氏を委員長とする財務委員会で、伯、日系の企業、個人、諸団体それぞれに担当を分けた組織作りが進められていることを明らかにし、募金活動を始めるにあたり、その受け皿となる「OSCIP(公益民間団体)の早期設立が急務」と話した。
 兵庫県神戸から、「友情の灯」をサントスまで運ぶ聖火リレー計画に関して、兵庫県知事や大阪商船と会合、「ほぼ実現できるのではないか」との見方を示した。

【執行委員会改革】
 松尾委員長の日本滞在中に遠山広報担当が提案していた執行委員会総入れ替えをするという抜本的な改革案(本紙五日付け)に関して松尾委員長は、「人を替えたから、改革というわけではない」と話し、人事と運営手法の変更による改革を目指す。なお、小委員会の各委員長も執行委員とするようだ。
 なお、現在の各委員長の交替や十五ある小委員会の縮小も視野に入れており、各個人と話し合いながら、段階的に新執行部を編成していくという。
 吉岡黎明総務委員長の離職を明らかにしたうえで、総務の仕事を分散させ、今後総務委員長職は設置しない考えも示した。
 なお、執行委員会で上原幸啓理事長が執行委員長を退任することを表明、今後執行委員会にも出席しないことを明言したという。

【一世呼び戻しに関して】
 戦後移民を中心とした一世の百周年参加が期待されているが、訪日前の先月六日に一世を対象として開いた説明会に対しては「まだ一人の賛同もない」。
 松尾委員長は改めて一世の存在が改革に必要であることを強調、これからも協力を呼びかけていく考えだ。
 記者席からの「来年四月の総会、日本政府に提出する六月の概算要求、七月にサンパウロ市で行われる海外日系人大会、パンアメリカン合同開催などを視野に入れたスケジュールを組むべきでは」との発言に、松尾委員長は、「目標を定め、執行できる執行委員会を作っていきたい」と話した。
 なお、百周年まで時間が迫っていることや、執行委員会を活発化させるため、会合を月に二度行うことも検討しているという。次回執行委員会は来月七日行われる。