【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】全国弁護士協会(OAB)で行われた大統領候補者の口頭試問でアウキミン候補は十八日、大統領の再選制度廃止を訴えた。PSDB(民主社会党)の方針でも同候補の政治改革案でもないが、ブラジルの発展にとって大統領再選が好ましくないことは明白だと述べた。再選容認の趣旨は理想的であったが、現実は悪用されていると同候補は語った。再選制度は、選挙制度を歪める。公的機関を利用して選挙運動を有利に展開し、政府機構を私物視する。それを禁じる法律がないので、天下を取ると無秩序にすると糾弾した。ルーラ大統領は、同試問を欠席した。
終盤の状況が芳しくないこともあるが、アウキミン候補は大統領選挙に対する不合理性を指摘した。大統領が再選されれば、二〇一〇年の次期政権への継続しか考えない。二期目の四年間は凶年で、政権は始まる前に休業状態になる。四年間は、政権継続のための下準備と根回しでしかないからだというのだ。
アウキミン候補はサンパウロ州知事を二期務め再選の際、多くの批判を浴びた経験がある。OABのブザト会長は、欠席したルーラ大統領を非難した。大統領は長年の盟友で政治的弾圧を受けた時は、OABが庇護した仲であるのに試問無視は心外だと述べた。
OABの口頭試問は大統領不在で、アウキミン候補はいいたいことがいえたようだ。政府機関と公社公団をPT(労働者党)色で塗りつぶし、PT政治の道具にするペチゼーションという新語まで生まれた。もはや、メディアを通じて知る公社は氷山の一角に過ぎない。公社の民営化など、笑い話か死語だという。
公社公団はブラジルの資産であって、PTの資産ではない。公社の民営化とは、PT化された公社を、ブラジル国民の手に奪回することである。ルーラ大統領が未来というとき、それはブラジルの未来ではなくPT政権の未来だと同候補は警告した。
ミナス州のネーヴェス知事は、アウキミン候補の再選廃止案が対ルーラ攻撃ではなく、ブラジルの悪弊への挑戦だと評した。それは選挙を戦うより困難なことという。例えルーラ大統領が再選されても、国民が汚職を看過したわけではない。いずれ政治倫理は、問われると釘を刺した。
一方、ジェンロ憲政相は、アウキミン候補がルーラ大統領再選に就任阻止の威しをかけていると述べた。民主主義のシステムにより国民から選ばれた大統領を引きずり降ろすのは、オップス・デイかチリの独裁者ピノシェット氏のすることと批判した。
ルーラ候補とアウキミン候補は十九日、SBTの公開討論会に出席。アウキミン候補がBandの討論会で見せた集中攻撃は、余り効果がなかったのでマイク・タイソン戦術へ作戦を変更する。ルーラ候補は映画監督のように振舞い、相手の出方を見る。テレビ局は未来志向を優先し、議論の対象になる質問を避ける企画らしい。
「アウキミン候補」大統領再選制の廃止を=「公機関が党の道具に」=ア候補、ブラジルの悪弊を指摘=新政権は就任前に崩壊?
2006年10月19日付け