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犯罪人を強請る悪徳警官=目こぼしの見返り=中銀襲撃の上前はねる=獲物を襲うハイエナ

2006年10月20日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】昨年八月に金庫室の地下にトンネルを掘り、現金一億六四七〇万レアルを奪って国内史上最大の銀行強盗として注目を浴びたフォルタレーザ市の中銀事件の実行犯らが、警官と名乗る集団に脅迫されて、現金を強奪されていることが明らかになった。連警が中銀事件を捜査している過程で判明したもので、警官らは逮捕を見逃す代わりに現金を強要したり、実行犯やその身内を誘拐して身代金をせしめている。中には家に押し込んで暴行を加えた上で現金を強奪する手口もあり、中銀事件の犯人らは戦々恐々としている。それにも増して強盗の分け前をピンハネする悪徳警官の出現に世間は呆れ返り、司法当局に非難が集中している。
 昨年十一月、中銀事件実行犯の一人、通称ペドロンのスザノ市内の家に警察と名乗る六人組が押し入り、二〇〇万レアルを持ち去った。警察に連行するのを見逃す代償だった。その数日後、別の四人が現れて四五万レアルを持ち去った。中銀事件の取調べでペドロンは連警にこの事実を告発したにもかかわらず、現在に至るまで犯人は捕っていない。
 関係者によると、中銀事件の犯人らは、いずれも大同小異、ペドロンの如く強奪した現金の分け前を狙う集団に脅迫されているという。しかも当局自体は否定しているものの、サンパウロ州の警官の仕業との見方で一致している。捜査の進展を熟知している悪徳警官が強盗の分け前をピンハネする悪質な犯罪で、公職を利用し平然と行っていることに非難が集中している。
 中銀で盗まれた現金のうち、連警が回収したのは一八〇〇万レアルだが、ピンハネされたのは五〇〇〇万レアルに上るとされている。中銀事件の容疑者は確証と物的証拠不足で誰一人起訴されていない。(わずかに一人が別件逮捕で刑務所に収監されているのみ)。このために、この種の犯罪が多発したと見られている。まさに獲物にたかるハイエナの様相だ。
 中銀事件発生以来の一連の出来事を日時で追ってみると、二〇〇五年八月五、六日にフォルタレーザ市の中銀で現金一億六四七〇万レアルが盗まれる。同八月十一日に連警はミナス州のトラック内に隠された五〇〇万レアルを発見し回収。同九月二十八日に連警は五人の容疑者を拘束し、一二〇〇万レアルを回収。同十月七日にサンパウロ市で、トンネル工事の責任者の通称フェーが誘拐され、身代金二一〇万レアルが支払われた。直後フェーは殺害された。
 この事件が中銀事件の分け前のブン捕り犯罪の流行の発端となった。同十月二十七日にサンパウロ市で、二人の市警がフェーの誘拐殺人犯として逮捕された。当局は当初仲間割れの犯行と見ていたが、警官が主謀者で面目丸つぶれとなった。一人は中銀事件を捜査していた組織犯罪課の捜査員だった。捜査課長はキリストも晩餐会でメンバーの一人に裏切られたと発言して、世間のひんしゅくを買った。
 同十一月十日には前出のペドロンが金を奪われた。同十一月十八日にセアラ州で犯人の一人の妻が誘拐され、一〇〇万レアルが支払われた。同月二十九日にフォルタレーザ市で、共犯者の自動車販売店主が三〇万レアルを脅し取られた。日時は不明だが同時期、三人の主犯格がそれぞれ一〇〇万レアル支払って逮捕を逃れ現在も逃亡中。今年二月と四月に一味の家族が誘拐され、それぞれ五万レアルと七万レアルの身代金を取られた。
 九月一日にサンパウロ市で主犯格の一人が警官集団に四五万レアルを強奪された。同日通称ボチナが四万レアルを支払いながらも殺害された。これで一連の犯罪で死者は二人を数えた。関係者は中銀事件で盗まれた現金が存在する限り、猫とネズミの争いは続くと見ている。