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出所はノーヴァ・イグアス=裏金網に連警のメス=決選日まで真相判明成るか=党資金の流れを把握

2006年10月24日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】ヴェドイン調書の購入資金について出所を追及する連邦警察は二十二日、同資金がリオ州ノーヴァ・イグアス市のヴィカトゥール旅行社によりラランジャ(名義賃貸人)名義で両替されたことを突き止めた。同旅行社はこれまでにも、数々の偽名や名義賃貸人による両替を行い、リオ検察局から告発を受け中央銀行のブラック・リストにも掲載された。連警は直ちに、同社の会計監査と資産状況を調べ、両替に関った名義賃貸人も訊問を受ける。ノーヴァ・イグアス市はPT(労働者党)市長が就任してから、同党の資金拠点となっていたようだ。
 大統領選の決選投票が無効になるとまで噂される調書購入資金の出所を巡って、両陣営は固唾を呑んでいる。米国から送金された二四万八八〇〇ドルは、ヴィカトゥール旅行社ともう一社でレアル通貨に両替され、その内一七五万レアルが調書購入に回されたと見られる。
 海外送金は、サンパウロ市のSofisa銀行に入金した。それから足跡を消すために数々の両替店や旅行社を巡り、ヴィカトゥールに到着した。そのためPT子飼いのラランジャが、総動員された。ラランジャは全員が底辺の人間で、名義が何のために使われたか知らない者ばかりである。
 連警は、銀行口座と携帯や固定電話の通話開示により包囲網を縮めた。連警は賭博業者をも洗ったが、疑惑資金の全額解明に至らず残部を追及した。資金調達の首謀者と見られ大統領の情報管理担当者であるロレンゼッチ氏の通話記録の網に、ジルセウ前官房長官やカルヴァーリョ大統領秘書官もかかっている。
 決選終盤にあるアウキミン候補(PSDB=民主社会党)が、ブラジルの汚職は大統領府そのものが総司令部であり、大統領は真相を知る必要はないという。選挙の事前調査では不利な状況にあるが、選挙は終わっていないと警告。一次選では当確と有頂天になっていたが、決選でも同じと見ている。国民が調書事件を看過したからと、与党が不罰特権で許されたわけではないとした。
 政府は購入資金の出所解明を、決選投票後に伸ばそうと奔走していることで同候補が非難した。ブラジルでは、汚い資金で政権を獲得できることを証明する悪例を後世に残す。不都合なことは、知らなかったで済むのがブラジルなのか。臭いものにフタをするのがブラジルの政治かと訴えた。決選までに連警が資金源を公表し、有権者の判断を仰ぐと同候補はいう。
 決選投票を五日後に控え、ルーラ大統領はブラジル国民一億九〇〇〇万人の大統領であって、三五〇〇万人の大統領ではないと宣言をした。富裕階級に政治を任せると、貧乏人など眼中にない。貧乏人が人間扱いされるのは、選挙の日だけである。選挙が終われば、コーヒー一杯をも馳走しない。アウキミン候補の選挙キャンペーンは、イタウ銀行の宣伝文句「顧客だけへの特別サービス」のようだと皮肉った。