北大西洋にぽつんと浮かぶアイスランドは北海道をちょっと大きくしたような島国である。夏至のころになると夜がふけても太陽が沈まずいわゆる「白夜」となり、豊かな「間欠泉」による暖房もよく知られる。人口は30万人を切るけれども、米大陸を初めて訪れたのはアイルランド人のレイフ・エリクソンだとされコロンブスの「発見」よりも500年も前であったという▼ノルウエ―のヴァイキングが移住して国をつくりあげ930年には世界最古とされる国会(アルシンギィ)が始まるなど歴史的な物語も多い。首都レイキャビクは「湯煙上がる入り江」の意味だそうだが、ここはレーガンとゴルバチョフ会談で一躍有名になったけれども、どちらかと言えば地味な国である。タラなどの魚を獲る水産業が盛んで捕鯨にも力を入れており、日本にも輸出している▼ところが、國際捕鯨委員会(IWC)が商業捕鯨を禁止したために日本と同じように調査捕鯨を実施してきたのだが、今年から商業捕鯨を始めると発表した。IWCは鯨がいなくなると騒ぐ。だが―鯨は豊富だし節度をもって捕獲すれば大丈夫と主張する。面白いのは、大食漢である鯨の胃袋をも問題にしているのだ。何しろ体が大きいからよく食べる。鯨が年間に捕食する魚の量は世界の漁獲量の5倍という調査もある▼この調査は日本が行いIWCにも報告したのだが、余り相手にされなかったのを覚えている。元々―IWCの構成国にはいい加減なところもあるし、この辺で鯨への真剣な取り組みが大切なのに―。動物への愛護精神だけではクジラ資源の保護は難しい。 (遯)
2006/10/24