ブラジル俳句会の先駆者である佐藤念腹氏の二十八回忌を記念する「念腹忌俳句大会」が十五日、サンパウロ市の老ク連文化センター会館で開催された。サンパウロ木蔭句会(栢野桂山幹事)主催、朝蔭発行所の後援。
念腹氏の直弟子、孫弟子ら約九十人が参加。遠方からはマット・グロッソやパラナ州などからも駆けつけた。
樋口玄海児氏の司会で進行。はじめに参加者は亡き念腹師夫妻ならびに先没句友への一分間の黙祷をささげた。続いて桂山氏が開会の辞を述べ、念腹氏の実弟、佐藤牛童子朝陰主宰があいさつした。
当日の席題は「念腹忌」「潔子忌」「場内属目」「花種蒔く」「蝌蚪」「春深し」。投句終了後、昼食。カラオケで自慢の歌声を披露する場面もみられ、句会の雰囲気は和気あいあいとしていた。
この日の席題特選受賞者に「朝蔭雑詠選集」、代表者選受賞者にそれぞれトロフィーが贈られた。
【代表選者選の高点句】
一位、樋口玄海児氏
二位、佐藤寿和氏
三位、栢野桂山氏
【牛童子先生特選席題】
素十師と藷掘る夢見し念腹忌 芥
師の齢越えているいる念腹忌 稚鴎
備えある気になるトマテが食えそうな 康
大輪の黄菊に笑める潔子の忌 ためこ
祭壇は黄菊明りの念腹忌 すみえ
花好きな大和の女性種を撒く 栄
老いぬれば花種撒くも生甲斐と 広江
皺の顔輝き集ふ念腹忌
清子
念腹忌師は叱るより励まされ かおり
九十二の妻は句がたき念腹忌 静
【兼題特選十句】
州またぐ大豆街道陽炎へる
長田 美奈子
踊るかに陽炎の中を行く女
湯田 南山子
深み行く師への追慕やクリオー鳴く 坂本 美代子
クリオー鳴く日曜大工の口笛に 青木 駿浪
霞む如蝶の群翔ぶパンタナル 鈴木 竜尾
睦みつつ濁流越えて行きし蝶 新津 稚鴎
生か死か大洋渡る蝶の群
菊池 信子
花と実を炊き込み味よきピキー飯 中原 レメ
移民の夢獏に食はれて老いしとや 川上 佐智子
モナリザの瞳に以て獏の目恋激し 大熊 星子
遠方より句友駆けつけ=念腹28回忌の追悼句会
2006年10月25日付け